梅雨明けの王子界隈吟行2010/07/23 06:43

 〈信じられねど古希近き暑さかな〉〈吟行へ出る故昼寝前倒し〉 東京が梅雨 明けした17日の土曜日、正午JR王子駅集合で「枇杷の会」の吟行会があった。  〈炎天に透き通る服ふんわりと〉 暑い日だった。 少し早めに着いたので、 冷房のあるみどりの窓口に避難して、時間調整をしたほどだった。 連休と夏 休みの初日と重なったせいか、本井英先生と幹事の善兵衛さんのほか、洋太さ んと私の四人、ごく小じんまりした吟行会となった。

 幹事さんの調査で、先に予約しておいたほうがよいという扇屋の玉子焼を、 まず予約。 王子稲荷をお参りして、狐の穴(洞・祠)を覗き、社殿の格天井 の絵を拝見、名主の滝公園に向かう。 〈古井戸は文政四年木下闇〉〈見下して 王子の街に夏の雲〉〈日盛の社殿に風の通り抜け〉 実は王子稲荷までは来たこ とがあったが、名主の滝がこんなにすぐ先にあるとは知らなかった。 都心に しては珍しい深山幽谷の趣に、すぐ隣を走る新幹線の音が重なる。 〈滝の音 時々新幹線の音〉

 名主の滝公園でつくり、一昨年五月の旧古河庭園吟行でも使った滝野川会館 での句会に出したのは次の五句。 それに、王子稲荷の井戸の句と、飛鳥山公 園の噴水の句を加えた。

 紫陽花のあせて暑さのぐわぁんと来る

 梅雨明けや王子男滝の余り風

 足洗ふご夫婦のゐて滝涼し

 滝よりのせせらぎ清し絶え間なし

 木洩れ日の清き流れにあめんぼう

 古井戸は文政四年木下闇

 噴水に遊ぶ子供ら水匂ふ