固定概念・“見えない規範”にとらわれている2011/04/02 07:04

 おわりに、西澤直子さんは、私たちは福沢から何を学ぶかとして、福沢の女 性論が男性論と表裏一体のものであることに触れた。 福沢の主な男性論とし ては、明治18(1885)年の『品行論』、明治21(1888)年の『日本男子論』 がある。 そこで福沢は、固定概念にとらわれない、意識改革が必要であると した。

 西澤さんは、福沢の書いたものから、「陰(かげ・いん)の帳面」と「第二の 性」の二つの言葉を取り出す。 「陰の帳面」…「婦人を見て、何となく之を 侮り何となく男子より劣りたる様に思込み例の如く陰性として己が脳中にある 陰の帳面に記したるものなり」(『日本婦人論後編』) 「第二の性」…「儒流の 古老輩が百千年来形式の習慣に養われて恰も第二の性を成し、男尊女卑の陋習 に安んじて…」(「新女大学」)→自然の「情」ではなく、「形式」によって捉え てしまえば、第二の性が生まれる。

 つまり、現在でも、一見解放されたように見えても、実は“見えない規範” にとらわれている、として二つの例を挙げた。 例1: 女子会、女子力、草食 系男子、弁当男子、イクメン、オヤジっぽい(これらは、あるべきステレオタ イプがあるからこその、とらわれている言葉)→各人が男らしさ女らしさを意 識することと、「世間体」にとらわれることとの相違。 「勇気なき痴漢(ばか もの)」(「新女大学」) 例2: 結婚による格差(高学歴と結婚、年収の差で二 極化)←福沢は身分制度を打破するものとして、学校制度と結婚を挙げていた のに…。(『旧藩情』)

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