「厩(うまや)出し」と「春障子」の句会2025/03/22 07:06

 13日は『夏潮』渋谷句会、新参加者が二名あり、にぎやかになった。 兼題は「厩(うまや)出し」と「春障子」。 「厩出し」、『ホトトギス 新歳時記』に「雪深い地方では冬のあいだ牛や馬を戸外に出さず、春、雪も解けて来たころ、厩から出して野に放ち、日光を浴びさせ蹄を固めさせる」とある。 「春障子」は、同じく、「戸外が明るい春の光に満ちあふれる頃の障子のことである。障子にうつる日ざしの照り翳りにも春らしさが感じられる。」

 私は、つぎの七句を出した。
厩出し(まだやし)や目映い原へ驀地(まっしぐら)
チャグチャグチャグと駈け行く厩出し
厩出し(まだやし)や曲家の戸を開け放ち
厩出しそろりそろりと泥濘(ぬかるみ)を
子供らの遊ぶ声して春障子
一冬を越すこと得たり春障子
ひろしさん明雀さんよ春障子

 私が選句したのは、つぎの七句。
仔の尻を軽く叩いて厩出し       幸枝
きらめける海に向かひて厩出し    伸子
日の下に艶めく青毛厩出し       幸枝
日薬といふ言の葉や春障子       英
病む夫の寝入りて閉ざす春障子    真智子
知らぬ間にうたた寝したり春障子    孝子
鳥の影大きくよぎり春障子        美佐子

 私の結果。 <厩出しや目映い原へ驀地>を淳子さん、盛夫さん、<厩出しや曲家の戸を開け放ち>を正紀さん、<厩出しそろりそろりと泥濘を>を淳子さん、<子供らの遊ぶ声して春障子>を鈴木礼子さん、庸夫さん、美佐子さん、<一冬を越すこと得たり春障子>を照男さん、<ひろしさん明雀さんよ春障子>を淳子さん、幸枝さんが採ってくれた。 互選10票、残念ながら本井英主宰選はゼロだったが、思いがけない結果だった。

<ひろしさん明雀さんよ春障子>の句だが、お二人は渋谷句会のお仲間だった。 酒泉ひろしさんは、昨年12月21日に、天野明雀さんは2月11日に亡くなった。 ひろしさんは89歳、<テレビ解説妻の解説蜆汁>のような、俳味あふれる洒脱な句をお詠みになる方で、年賀状には毎年愉快な漫画も描かれていたが、体調を崩されてからは句会にはいらっしゃれなくなっていた。 明雀さんは74歳、10月の句会で<山中の庵に目貼一人住む>という御句を私も選句しており、12月12日の句会にも出ておられ、少しやつれたかと思ったのだが、急なことで残念だった。

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