井田進也さんの所論への反論 ― 2007/12/21 07:33
読書会「『西洋事情』を読む」で、井田進也教授の講義が終わった後に、質問 の形で出された諸先生の反論が鋭かった。 松沢弘陽さんは、まず「海防家」 の定義は?と訊き、山本物次郎は古いタイプの砲術家で、長崎県立図書館にあ る山本家文書には○○流砲術の免許皆伝などがあり、家の芸としての砲術だ、 高島秋帆、佐久間象山といった新しいタイプの砲術家以前のものだと指摘した。 さらに、福沢が山本物次郎に読んで聞かせた時勢論の中に舶来したばかりの『海 国図志』百巻本があったかどうかも疑問だとした。
井田さんが山本物次郎のところで賃料を取って貸したのがこんなものではな いかと示した『海国図志』の軍艦・大砲関係の図に対して、西川俊作さんは、 『百爾(ペル)築城書』の図はもっと精密で、台形の面積の出し方(塹壕を掘る ため)など初等幾何の知識や、陣形などにもふれたオランダの兵学書だといい、 「兵学者」という言葉を挙げた。
小室正紀福澤研究センター所長は、『春秋左氏伝』を十一ぺん読んだことと中 国崇拝は必ずしも一致しない、江戸時代の儒学の中ではもっと前から中国学問 への否定、蔑視が始まっていた、渡辺崋山、高野長英なども、と。 松沢さん も、いったい『福澤全集』に『左伝』からの引用がいくつあるだろうかといい、 中国にネガティブになったのは、アヘン戦争で英国に手も足も出なくて負けた ことや、福沢が海外でイギリス人に低く扱われる中国人を見たこともある、と 指摘した。
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