秋田空港ゴー・アラウンド始末2018/05/22 07:08

 珍しく一日休んだのは、福澤諭吉協会の第50回福澤史蹟見学会で、19日、 20日と、秋田に行って来たからだった。 たまたま前日の18日は、秋田市で 観測史上最大、秋田県内8市町4万人に避難勧告が出たという記録的豪雨だっ た。 19日も天気図を見ると、寒冷前線は太平洋に抜けていたけれど、秋田方 面に低気圧が近づいていた。 それで東京は傘を差さずに家を出られたが、秋 田の天気は雨風が残る予報になっていた。 秋田新幹線が午後1時まで運転を 見合わせている中、幸い羽田発午前9時50分のANA403便を予約していたわ れわれ一行は、予定通り出発したのであった。 新幹線からの振替客が多かっ たためか、エアバスA321は194席満席で、理由は不明だが、離陸は15分ほ ど遅れた。 A321には各シートにモニターがついていて、どの辺を飛んでい るのかや、雲の様子も見ることができる。 途中、多少の揺れもあったが、大 したことはなかった。 モニターの画面では、秋田空港を境にして、日本海側 には雲がないが、山側には雲がある。 ちょうど境界に当たっていて、天候が 変化しているように見えていた。

 11時頃、視界の悪い雨の中を着陸態勢に入った。 一旦着地したが、着陸で きず、再びエンジンを噴かせて、飛び上がった。 乗客は、みな不安になる。  上空の旋回が始まった。 もし秋田空港に降りられなければ、庄内空港か、三 沢空港にでも降りるのだろうか。 その後の旅程も、大変だ。 15分ほど経っ て、まもなく機長から状況を説明しますというアナウンスがあったけれど、さ らに10分ほど旋回が続く。 モニターを見ると、着陸の方向を、検討してい るようだった。 ようやく、機長から着陸態勢に入りますというアナウンスが あった。 その間、機長にもどうするか、悩みがあったんだろう、という人も いた。 最初のゴー・アラウンドから35分ぐらい経っただろうか。 長い不 安の時間を過ごして、着陸に成功、拍手が沸いた。 冒頭の写真は、「得難い経 験だった」という感想をもらし、あとで相部屋になった大窪孝司さんがお撮り になったモニター画面のANA403便の軌跡を、写させてもらったものである (中央の黄色い文字のついた白い長方形が秋田空港)。

 秋田空港で、心配しながらお待ちになっていた今回の素晴らしい案内役、協 会会員の畠山茂さんは、神も仏も不信心なので、福沢先生に祈っておられたと、 後で話された。 その祈りは見事に通じたのであろう。 一行には、福沢研究 の大事な先生方がいらっしゃった。 昼食に向かった秋田キャッスルホテルか、 次の県立美術館かで、「キューバ・ハバナで旅客機墜落、離陸直後、100人超死 亡か」というニュースが流れているのを見た。

 飛行機にはなるべく乗らないようにしていたのだ。 学生時代にゼミで教え ていただいた恩師小尾恵一郎先生は、「ああいう重力の法則に反する物には乗ら ないように」とおっしゃっていた。 ご自身はハーバードへの研究留学が決ま ると、颯々(さっさ)と飛行機で行かれたが…。 19日夜(日本時間20日未 明)、是枝裕和監督の映画『万引き家族』が、仏カンヌ映画祭でパルムドールに 輝いた。 参加した樹木希林さんの飛行機に落雷、天井板がバラバラ落ちたり、 酸素マスクが下りてきて、お祝いの薬玉のようだったという。 それに比べれ ば、大したことはなかった、とは言えるのだけれど…。