朝日新聞連載、『彰義隊』と『花はさくら木』 ― 2005/07/26 11:28
閑居ゆえか、いま珍しく朝日新聞の連載小説を二つ読んでいる。 昨年11 月15日の日記にも書いた、吉村昭さんの『彰義隊』(夕刊、挿絵・村上豊さん) と、辻原登さんの『花はさくら木』(朝刊、挿絵・南伸坊さん)である。 『彰 義隊』は、時代に興味がある。 慶應4年5月15日、新暦で1868年7月4 日にあたる梅雨の時期、たった半日で終った戦争をどう描くのかと思ったら、 輪王寺宮(十三代、公現法親王、伏見宮家出身、のちの北白川宮能久親王)の逃 避行を蜿蜒と綴っている。 皇族でありながら朝敵となった、時代に翻弄され た人物である。
『花はさくら木』は、宝暦11(1761)年春、京都。 後に今問題の女性天皇、 後桜町天皇となる智子(「さとこ」とルビ、『広辞苑』は「としこ」)内親王を舞 台廻しに、朝廷に通じる鴻池と幕府(田沼意次)との、朝鮮貿易、米、木綿、酒、 醤油、木材、金などの経済利権をめぐる確執が展開している。 一昨年、釜山 の対馬藩『倭館』についての、田代和生さんの話を聴き、その本(文春新書)も 読んでいたので、背景に興味があった。 朝鮮通信使という制度や、蕪村や応 挙など時代の文化人が登場するのも興味深い。 ところで、早稲田の応援団が 「花はさくら木、人は武士」というノボリを立てるのは、なぜなのだろうか。
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