「汐干」と「松の花」の句会2012/04/19 03:26

 4月12日は「夏潮」渋谷句会だった。 兼題は「汐干」と「松の花」。 私 はつぎの七句を出した。

沖の船いつの間に消え汐干狩

汐干潟有象無象の蠢けり

明け透けに欲の皮張る汐干狩

子供らのこぼれんばかり汐干船

紫のちよこりと見えて松の花

広重も描きし並木松の花

穏やかな波音のして松の花

 私の選句は、つぎの七句。

掬ひ得し小雑魚大切汐干狩       英

一湾の照り翳りして汐干狩       良

潮干狩蟹湧くごとき人出かな      六平

したはれて村医代々松の花       英

松の花切下げ髪の御後室        和子

松の花歪みガラスの回り廊       なな

野点の湯しづかに滾(たぎ)ち松の花  なな

 句会のたびに、一喜一憂しないようにと、思うのだけれど、凡人のことで、 そうはいかないのが、遺憾である。 先月は、鳴かず飛ばずだったため、ほと んどしゃべらずに、会場をあとにした。 今回は句会後のトイレで、先月私が 4句も採って「いい人」になった梓渕さんとお会いした。 自分はたった1票 だったと話すと、ベテランはこんなことを言われた。 「いいつもりで出した 句が駄目で、そうでない句を採ってもらったりする。 わからないんですよね。  俳句は難しい。 ずっと、わからないのかもしれない。」 同感である。

 今月の結果。 拙句を採ってくれたのは、〈沖の船いつの間に消え汐干狩〉英 主宰、〈汐干潟有象無象の蠢けり〉善兵衛さん・耕一さん・淳子さん、〈子供ら のこぼれんばかり汐干船〉梓渕さん・良さん、〈紫のちよこりと見えて松の花〉 さえさん、〈穏やかな波音のして松の花〉英主宰・ひろしさん・ななさん・良さ ん。 主宰選が2句、互選が9票、計11票だった。

 主宰の選評。 〈沖の船〉漁協か何かの船、水深が浅くなって、いなくなっ た。 なぜいなくなったのか、説明していない。 句の中に、理屈を持ちこん でいない。 〈穏やかな波音〉海からは離れている感じ。 高い所に、芝生が 広がっている。 御木本幸吉が晩年に住んでいた家を、勝手に想像した。