季題研究「蛞蝓」と「竹落葉」2012/06/22 02:36

 「蛞蝓」と「竹落葉」の句会で、「夏潮」渋谷句会の“売り”季題研究の発表 は、本井英主宰と、辻梓渕さんだった。 主宰も、発表の順番に含まれている ところに、句会本来の平等主義があらわれている。 それぞれに、知らないこ とばかりで、勉強になった。

 「蛞蝓」ナメクジは、カタツムリが殻を失う方向に進化したものなのだそう だ。 こうした貝殻の消失は、さまざまな系統で起こっており、これを「ナメ クジ化」(limacization)という。 海に棲むウミウシなども、ナメクジ型に進 化した巻貝だという。 ナメクジ化が起こる理由は必ずしも明らかでないが、 殻を背負っているよりも運動が自由で、狭い空間なども利用できるメリットが あり、「生きやすい」かららしい。

 ナメクジの駆除に塩を使う。 体表に塩を盛ると、水分が抜けて溶けるよう にみえる。 これは水溶液になって、浸透圧が起きる物質ならば何でもよくて、 砂糖や重曹などでも同じような現象が観察できるそうだ。

 なめくじは蛇を、蛇は蛙を、蛙はなめくじを食うところから、「三竦み(さん すくみ)」という。 草双紙や歌舞伎の『児来也』では、児来也は蝦蟇(がま) の術を使い、蛇の術を使う大蛇丸(おろちまる)、蛞蝓の術を使う児来也の妻・ 綱手(お綱)が「三竦み」の妖術争いを展開する。

 宮沢賢治に「蜘蛛となめくじと狸」という怖い童話がある。 どう怖いか興 味のある方は、下記を参照のこと。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/4602_11979.html

 句会の前に、同じく幹事でいつもお世話になっている和子さんと、話す時間 があった。 息子さんが幼少の頃に好きで、今でもその話をする絵本を、お孫 さんのために買って来たと、見せてくれた。 古い本は少し前に保育園に持っ て行ったが、お孫さんが読むようになることに考えが及ばなかった。 小出淡 (たん)・文、小出保子・絵『とんとんとめてくださいな』(福音館)、色鉛 筆で描いた暖かい絵だ、三匹のねずみの内、赤い帽子の一匹の、本文にはない ちゃっかりぶりなど、絵が深いという。

 「竹落葉」。 辻梓渕さんの、お嫁さんがプリントしてくれたという、カラー 写真入りの竹の種類のレポートが素晴らしい。 百聞は一見に如かず。 真竹、 孟宗竹、黒竹(くろちく)、矢竹、おかめ笹、支那竹、煤竹、金明 孟宗竹、胡 麻竹、蓬莱竹、淡竹(はちく)、布袋竹、亀甲竹。 花の写真を見ると、竹が イネ科であることが、よくわかる。 花が咲くと、枯れるという話は、本当の ことで、一帯の竹が枯れるのは、根がつながっているから…。 根を切って、 別の場所に移植しておいたものも、同時に枯れるのだそうだ。 竹に寿命があ るからだろうか。