三遊亭遊馬の「味噌蔵」前半 ― 2024/03/10 08:00
黒紋付の遊馬は、タレ目でにこやか、初めてかと思ったら、前に「佐野山」や「大工調べ」を聴いていた、小遊三の弟子。 吝嗇兵衛さん、生まれた時から手を握って離さないので、母親が上にお金を置いたら、ようやく開いたというケチ。 友達のオナラをつかんできて、花壇にまく。 奉公に出てからは、毎日鰻を食べていた、ご飯を持って鰻屋の前に行き、匂いを嗅ぎながら食べる。 月末に勘定書が来て、毎日嗅がれては鰻の性(しょう)が落ちる、嗅ぎ代の請求。 巾着に嗅ぎ代分のお金を入れて、音を聞かせた。 爪に火を点すようにして、お金を貯め、味噌屋の旦那になった。 釘が出てる、隣で金槌を借りてきなさい。 隣も、木か金か、金の釘を打つと聞いて、減るから貸さない。 じゃあ、うちのを出して使いなさい。
倹約術を学びに来た人がいる。 あんたは、扇子の使い方、どうする? 半分開いて5年使い、もう半分を開いて5年使う。 甘いね、私なら生涯使う、扇子を全開にして、顔の前にかざし、顔の方を動かす。
親類から婚礼の案内が来た。 旦那様、お泊りでございますか。 そうなるかもしれん、万一に備え、蔵には火を入れないように、職人を呼んで用心土を塗るのだが、金がかかる、自分たちで味噌で目塗りをしなさい。 火にあぶられた味噌は香ばしい、あとでおかずに出来る。 吝嗇兵衛さん、小僧の貞吉を連れて出かける。
奉公人が集まって、源助は、長いこと当家に奉公しているが、ご飯におかずがつかない、味噌汁にも具がない。 先日も、味噌汁にシジミが入っていたので、箸でつかもうとしたが、つかめない、私の目の玉が映り込んでいたんだ。 番頭さんに、普段食べないような料理や酒をお願いしよう、帳面をドガチャカ、ドガチャカしてもらって。
番頭さん、…というわけにはいきませんか。 私を誰だと思っているんだ、店を守る番頭だよ。 でもね、私もそのつもりだった、酒は私が吟味する、食べる物は皆が好きなものをあつらえよう。 仁助は? マグロの刺身。 大皿で頼もう。 鯛の塩焼き、鰻は蒲焼と白焼、海老の天婦羅、旨煮。 権助は? あれま、シシもらうべかね、マグロのシシ、タイのシシ。 寿司ってんだよ、飯台で取ろう。 甘いものは? サツマイモ、お汁粉。 番頭さんは、味噌田楽を。 横丁の豆腐屋はうちの味噌だ、二、三丁ずつ、焼け次第持って来るように。
店、始まって以来の大宴会、騒ぎ方がわからない。 テンヤワンヤ、ドガチャカ、ドガチャカですから、番頭さんに感謝感激。 旦那はケチで、往来に下駄の片っぽが落ちていたら、仁助、拾いなさい、と。 鼻緒を羽織の紐にするってんだ、今日はそれで出かけた。 ワァーーイ! ワァーーイ!
旦那の方は、やっと町内まで帰って来た。 貞吉、もったいない、折角重箱に詰めた料理を忘れてくる奴があるか。 汚い下駄で出かけて、きれいな下駄に替えて来いといったのに、下駄と草履、片っぽずつ履いてきて。 横丁の豆腐屋さん、まだ働いているな。 どこの家か、夜中まで騒いでいるぞ。 馬鹿でかい声は、仁助のようだ、ウチじゃないか。 節穴から覗こう。 テンヤワンヤ、料理、酒、ドガチャカ、ドガチャカ!
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