三遊亭遊馬の「味噌蔵」後半2024/03/11 07:17

 おい、開けなさい、あたしだ。 商人の店は10時限り、明日お願いします。 仁助、開けなさい! 大変です、旦那のお帰りだ。 手早く、片付けろ。 袂や懐へ。 仁助、蛸の酢の物の大皿に、座りなさい。 アーッ、おできに沁みる。 後で、絞って食べますか。

 番頭さん、ちょっとこちらへ。 こんな結構なことを、したことはありません。 こんな時に、万が一の事があったら、どうする。 寝ちまえ、寝ちまえ。 間が悪いことに、こんばんは!こんばんは! 焼けて来ましたよー、焼けて来ましたよー! ご親切にありがとうございます。 横丁の豆腐屋です。 火元はどのあたりで? 二三丁焼けてます、あとから、どんどん焼けて来ます。 驚いて、開けた途端。 しまった、味噌蔵に火が入った。 ウーーーン! 南無阿弥陀、南無阿弥陀。

 吝嗇兵衛さん、暗闇地獄に放り込まれて、そこを明るくしております。 閻魔大王が覗くと、爪の火を亡者に分けている。 地獄を追放じゃ!

 旦那、旦那! ここはどこだ、ここは地獄か? 家です、旦那が倒れて、医者が来て高価な薬を飲ませたんで、気がついたんです。 高価な薬を飲んだのか、ウーーーン! 先ほどの薬はタダだそうです。 旦那が生き返った。 タダほど恐いものはない、そんなことより恐いのは、帳面をドガチャカ、ドガチャカされることだ。