創立100年記念式典での昭和天皇の「お言葉」など2008/11/12 07:11

 私が慶應義塾創立150年記念式典での天皇陛下のスピーチをとくに長く感じ たのは、50年前、高校2年生の時に創立100年記念式典で聞いた昭和天皇の 「お言葉」が頭にあったからかもしれない。 1958(昭和33)年11月8日、 新装なった日吉記念館における慶應義塾創立100年記念式典での、天皇陛下(昭 和天皇)のお言葉は、『慶應義塾百年史』下巻によれば、つぎの通りだった。

「慶應義塾が百年にわたり、福沢諭吉創業の精神にのっとり、青少年の育成に 努め、幾多の人材を世に送り、国家社会の発展に多大の貢献をして来たことは、 私の多とするところであります。 今後、更に協力一致して、此の輝かしい伝 統を守り、我が国文運の進展に寄与するようますます努力することを望みま す。」

これだけでは短いので、ついでに記すと、塾員代表小泉信三さんは、祝辞で、 福沢諭吉の世に唱えた教えとして、次の三つを挙げていた。  第一、階級と男女を問わず、人の人としての尊厳を強く説ききかせたこと。  第二、自然と人文を問わず、一切の事物を合理的実証的に推究し、科学的精 神を鼓吹したこと。  第三、常に自国の独立を思い、自国の安否を思うこと父母の病を憂うるが如 くなれ、と励ましたこと。『学問のすすめ』にある「独立の気力なき者は国を想 うこと深切ならず」は、今日も特に新しい響きを持っている。