目黒のビュフェ展<等々力短信 第1009号 2010.3.25.> ― 2010/03/25 06:39
19日、目黒区美術館で「ベルナール・ビュフェ展」を見てきた(4月11日 まで。目黒川の桜も見頃なので、おすすめ)。 去年6月、念願だった静岡のベ ルナール・ビュフェ美術館へ、福澤諭吉協会の旅で行くことが出来たが、今回 は同美術館から1940、50年代の初期の優品70点が来ている。 その他はギャ ルリーためなが蔵の大型の絵2点があるだけだ。 初期のビュフェが好きな私 には、こたえられない展覧会だった。
岡野喜一郎さんに世界一2000点を超すビュフェ・コレクションの、最初の 決意をさせたのは1963(昭和38)年にまだ京橋にあった国立近代美術館で開 かれた「ビュッフエ展―その芸術の全貌」だったという。 実は、私もその展 覧会を見た。 神経質な鋭い線で描かれた静物や人物、冷たい色の面で構成さ れた、ビュフェの絵の孤独な雰囲気が、まもなく学校を卒業する私の気分に妙 にマッチするものがあって、強く惹かれた。 コレクションをしなかったのは、 ただ単にお金があるかないかの差であった。
年代順になっている『ビュフェ美術館鑑賞ガイド』をみると、はっきりして くるのだが、私が好きなのは、1947年から1958年までの絵なのだった。 1947 年、19歳のビュフェは、新人画家の登竜門である批評家賞を受賞して、注目さ れるようになる。 1958年の12月、30歳のビュフェは、アナベルと結婚して いる。 ビュフェが極端にシャイな人で、絵に登場する夫人と、大きな城にひ っそりと住んでいて、めったに人に会わないとも聞いた。 グレーや茶を主体 にして、色を多用しない画面に、細長い人物、ストーブや机や椅子(前田富士 男さんの講演で知ったトーネット社の曲げ木椅子らしい)、皿や瓶や果物や魚や 鶏が、神経質な角張った線で描かれている。 何ともいえない孤独で、寂しく 暗い、不安な感じが、胸に迫ってくる。 それが若い私をとらえ、現在にまで 及んでいる。 私もまた、内気で、どちらかといえば、孤独な少年であった。
展覧会の副題は「『木を植えた男』の著者ジャン・ジオノとの出会い」。 1950 年、22歳のビュフェはピェール・ベルジェの紹介で知り合ったジオノに勧めら れて、マノスクの彼の家に滞在し、プロヴァンスの風景や日常のオブジェを描 き続けた。 広大な草原に、ぽつんと家がある「ナンスの農場」という絵が好 きだ。 ビュフェはマノスクから17キロのナンスの古い牧舎をアトリエに改 造し、1954年までジオノの『純粋の探求』の挿絵(21点展示)や〈キリスト 受難〉シリーズなどの代表作を制作した。
コメント
_ 木下 ― 2010/03/30 17:40
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