桃太郎悪者論〔昔、書いた福沢1〕2011/10/10 04:52

 毎日、目新しいことを書こうとすると、息が切れることがある。 そこで、 一息入れる、手抜きの策を思いついた。 〔昔、書いた福沢〕を、ブログで、 つまりインターネットに公開する形で、残しておこうと思ったのである。 断 続的に、続けてみたい。 若書きで、恥ずかしいものもあるだろう。 その後 の研究で、補足できるものもあるかもしれない。 一石二鳥といくか、どうか。

  等々力短信 第94号 1977(昭和52)年10月5日

 鬼に掛け合わなければならないことのある人がいたら、ご一報下さい。 大 阪は河内長野市在住の詩人中村光行さんが主宰する「鬼の会」という愉快な団 体があって、悪者にされた鬼の無念をはらす為、善鬼をさがしていると聞き、 おせっかいにも福沢諭吉の「ひびのをしへ」の中にある文章を知らせて感謝さ れたからだ。  「ももたろふが、おにがしまにゆきしは、たからをとりにゆくといへり。け しからぬことならずや。たからは、おにのだいじにして、しまいおきしものに て、たからのぬしはおになり。ぬしあるたからを、わけもなく、とりにゆくと は、ももたろふは、ぬすびとともいふべき、わるものなり」

 それは桃太郎が奪った宝を私したことを卑劣として、法の下には桃太郎も鬼 も平等であり、たとえ鬼が悪いとしても法によって裁かれるべきであると、法 治国家における法の重さを教えた福沢らしい痛快な一文である。    (短信94・終)

 「ひびのをしへ」は、福沢諭吉が明治4(1871)年に8歳の長男一太郎と6歳 の二男捨次郎のために、日々守るべき事柄や暦など身近な知識を書き与えたも の。 加賀半紙で帳面をつくり、毎朝食後に二人を書斎に呼んで、子供たちが 楽しみに待つ中、一話ずつしたためたという。

 9月10日の「週刊ブックレビュー」の特集で、作家の奥泉光さんをゲストに、 彼が6人の編集委員の一人となった集英社の『コレクション 戦争×(と)文学』 (全21冊)の話をしていた。 奥泉光さんが担当した第5巻『イマジネーション の戦争』に、小松左京「春の軍隊」、星新一「白い服の男」、筒井康隆「通いの 軍隊」などといっしょに、芥川龍之介の「桃太郎」が収録されているという。  芥川龍之介に「桃太郎」があることを、知らなかった。 ぜひ、読んでみたい と思った。

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