「初鴨」「無花果」の句会、結果2011/10/17 04:56

 「初鴨」と「無花果」の句会で、私が選句したのは、つぎの七句だった。

初鴨の電話受けつつ式部官        英

汐入の池に初鴨漂へる          和子

初鴨の柔和な顔でありにけり       梓渕

無花果や昭和の家に女中部屋       なな

無花果の臍より赤く色づきて       なな

無花果のひつそり閑と墓地のすみ     幸雄

住職の無花果の木に登りたり       幸雄

 披講の結果、私の句は〈無花果のじやりじやりしたる甘さかな〉を主宰、幸 雄さん、華さん、梓渕さん、ななさんが、〈母好みし無花果妻も好きと言ふ〉を 主宰とななさんが、〈初鴨のお濠に一二三四五〉を主宰、和子さん、さえさんが、 〈無花果の焼物めきし肌の艶〉を善兵衛さん、〈奥琵琶の仏の里に鴨来る〉を耕 一さんが、〈初鴨のまだロシア語を話すらし〉をさえさんが、採って下さった。  主宰選3、互選10、合計13票、9月の主宰選6というフロックまでは行かな かったものの、合計13票は同じ、二か月連続の僥倖となった。

 主宰の選評。 〈無花果のじやりじやりしたる甘さかな〉…なるほど、こう いう言い方もあるか、面白い。 〈母好みし無花果妻も好きと言ふ〉…一緒に いる時間の少なかった姑と嫁ではないのか。しんみりした句。なかなかこうい うことを言わない日本の男が、ポロッと言った。 〈初鴨のお濠に一二三四五〉 …「濠」の字で、全部が落ち着く。お城のお濠、広い水面、けっこう遠くまで、 鴨がばらばらに見えている。

この会で、本井英主宰が『三田評論』10月号「社中交歓」の「みのり」にお 書きになった「田の神来臨」をコピーして、皆様に配らせてもらった。 する と偶然にも、その下の「十月はたそがれの国」を書いた方が、ななさんの娘婿 さんだということが判明したのだった。 ななさんには、会場さすらいの件で、 お世話になっていたので、とくに嬉しい気がした。