『虎に翼』のモデル、三淵嘉子と穂積重遠2024/05/07 07:07

『虎に翼』のヒロイン猪爪寅子(ともこ・伊藤沙莉)のモデルは、三淵嘉子(みぶちよしこ、1914(大正3)~1984(昭和59))。 日本初の女性弁護士の一人であり、初の女性判事および家庭裁判所長。 台湾銀行勤務の武藤貞雄とノブの長女としてシンガポール(新嘉坡)に生まれ、一字を取って「嘉子」と名付けられた。 東京女子高等師範学校附属高等女学校(現、お茶の水女子大学附属高校)から、進歩的な考えの父の影響を受け法律を学ぶことを決意し、当時女子に唯一法学の門戸を開いていた明治大学専門部女子部法科に入学した。 1935(昭和10)年、明治大学法学部に入学。 1938(昭和13)年、高等試験司法科試験に合格し、同大学を卒業。

1940(昭和15)年、明治大学同窓の中田正子、久米愛と共に、日本初の女性弁護士として登録した。 1941(昭和16)年に、武藤家の書生をしていた和田芳夫と結婚するも、和田が召集先の中国で発病、1945(昭和20)年に帰国後長崎の陸軍病院で戦病死する。 同年、長男や戦死した弟の妻子とともに福島県河沼郡坂下町(現、会津坂下町)へ疎開ののち、両親の住む川崎市に移住。

1947(昭和22)年、裁判官採用願いを司法省に提出。 1949(昭和24)年6月4日に初の女性判事補となった石渡満子に次いで、同月28日に東京地裁判事補となる。 1952(昭和27)年、名古屋地方裁判所で初の女性判事となる。 1956(昭和31)年、裁判官の三淵乾太郎(初代最高裁長官だった三淵忠彦の子)と再婚、三淵姓となる。

1963(昭和38)年より1972(昭和47)年まで、東京家庭裁判所判事を務め、1972年、新潟で女性として初の家庭裁判所所長に任命された。

 朝ドラ『虎に翼』で、小林薫がやっている明律大学教授の穂高重親だが、その名から穂積重遠(しげとお)がモデルだろう。 穂積重遠(1883(明治16)~1951(昭和26))は、民法学者、穂積陳重(のぶしげ)の子、1908(明治41)年東京帝国大学法科大学卒業、同大学講師、助教授、1912(大正元)年民法および法理学研究のためドイツ、フランス、イギリスに留学。 1916(大正5)年帰国、同年教授となり、民法講座と法理学講座を担当、民法の身分法の領域に多くの業績を残した。

 父の穂積陳重(のぶしげ)(1855(安政2)~1926(昭和元))は、法学者で民法・戸籍法などの立法事業に貢献、東京帝国大学教授、帝国学士院長、枢密院議長などを歴任した。 妻は、渋沢栄一の長女歌子で、2021年の大河ドラマ『青天を衝け』に登場していた。 穂積重遠は、渋沢栄一の初孫ということになる。 陳重の弟、穂積八束(やつか)(1860(万延元)~1912(大正元))も、東京帝国大学卒、同教授。 天皇主義的憲法学者で、ボアソナードが起草した民法の実施延期を主張、梅謙次郎と論争した。

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