水口食堂の定食、木村吉隆さんの浅草話2013/06/15 06:57

 楽しみは昼食の水口食堂だった。 こんな機会でもなければ行くことのない 店だ。 幹事が予約出来たのが、ここだけだったという。 伝法院通りへ戻り、 まっすぐ六区フラワー通りを行き、浅草演芸ホールの手前を右折してすぐ先の 右側にある。 『浅草 老舗旦那のランチ』の本で、どういうお店かは、ある程 度わかっていた。 六区に店を出して六十年、いり豚が名物、浅草芸人御用達 という定食屋さんだ。 二階に上がると、小上がりに席が用意してあり、その 手前で上の本の「旦那」が二人、木村吉隆さんと胡麻油・伊豆安商店の菱沼宏 一さんがランチしていた。 私が頼んだのは旬のカレイの煮付定食で、ワカメ の酢の物の小鉢、あさりの味噌汁、お新香がつき、ご飯を小盛にしたら、750 円が50円引きの700円だった。 子持ちカレイの煮付は分厚く、甘辛濃い目 の味付けで、美味しかった。 値段だけでなく、全体に満足した。 後で木村 さんに連れられて、挨拶に出てきた学校の後輩という息子さんの淳さんも、調 理場で奮闘しているのだろうか、朴訥な雰囲気で好感が持てた。

 食後は、仲見世会館で「助六」木村吉隆さんから、浅草の話を伺う。 年間 三千五百万人もの人が浅草に来る。 観音様にお賽銭を、十円ずつ上げれば三 億五千万円、百円なら三十五億円。 なぜ人は、浅草に来るのか。 自分が渋 谷に行くと、前に行ったことのあるいわしや(?くじらや)・西村フルーツパー ラーへ行く。 馴染みのある所、懐かしい所に、人は繰り返し行くのではない か。 その伝統を、つないで行かなければならない。 仲見世は高学歴になり、 「旦那」がいなくなって、「経営者」ばかりになって来た。 銀座も同じで、「後 継ぎ」と「旦那」がいない。 いるのは「経営者」、ビルにして不動産業になる。  銀座・浅草には、横丁の楽しさがある、めし屋も、物販も。 ぜひ小商人(こ あきんど)を大事にしてほしい。 浅草土産は? 他ではけしてないものなら、 助六の江戸趣味小玩具。 餡は、京都と金沢にはかなわない。 経験談の雑学。 「猫 ひっかき病」というのがある、正式名称。 猫にひっかかれた後十日ほどして、 腕などが赤く大きく腫れて、発熱する。 腋、頸、鼠径のリンパ節などが腫れ る。