閑職時代の読書が、後に役立つ ― 2014/08/14 06:33
等々力短信 第247号 1982(昭和57)年4月5日
昭和5年12月、米内光政は中将に進級、今の韓国南岸、鎮海要港部司令官 に補せられた。 これは「首五分前」のポストで、だいたいここを最後に予備 役に編入される習慣だった。
米内海軍大臣秘書官を務めた実松譲は、米内の博学に驚き、「官舎で“やもめ 暮らし”をしているあいだに、おのずと読書のくせがついてきた。とくに鎮海 要港部司令官という閑職時代には、書物を読むのがなにより楽しみであった。 そしていま海軍大臣という大事な仕事をするのに、それが非常に役立っている ように思われる」「人間というものはネ、いついかなる場合でも、自分のめぐあ った境遇を、もっとも意義あらしめることが大切なんだヨ」という米内の言葉 を引き出している(『わが海軍わが提督』光人社)。
阿川さんの本にも海軍記念日の乾杯で米内が「五月は男の月である。古歌に 曰く、さつきまつ花たちばなのかをかげば昔の人の袖(そで)のかぞする」と 古今集を引く話が出てくる。
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