失敗の記録、日本政府と私2014/08/27 06:29

 [BS1]スペシャル『山本五十六の真実』を見て、日本に失敗の研究と反省、 文書や記録を残す精神がなかったこと、暗号の解読など科学の応用の欠如が、 敗戦につながったことを、改めて学んだ。 大本営発表では、国民が真相を知 らされていなかった、情報公開にも大きな問題があった。 ミッドウェー海戦 でも大本営発表は、「空母エンタープライズ、ホーネットを撃沈。米軍機120 機撃墜。味方の損害は、空母1隻、重巡洋艦1隻沈没、空母1隻大破、未帰還 機35機。」だったが、実際はアメリカが珊瑚海海戦後修理した空母ヨークタウ ンと駆逐艦ハンマンの沈没喪失、日本側は空母4隻とその搭載飛行機の全てを 失っていたのだ。

私は、東日本大震災後、原子力災害対策本部など政府の主要な会議で記録が ないことが、問題になったことを思い出した。 そして政府は昨年10月にな って、閣議や閣僚懇談会の議事録を作成、保存するため、公文書管理法を改正 する方針をようやく決めたのである。 太平洋戦争の失敗の教訓は、70年を経 た今日までも、まったく生かされていなかった。 その70年を、私はその一 員として生きていたのである。 これは反省して、謝るほかはない。 どうも、 すみません。

 戦後10年を過ぎた、私の学生時代から社会に出た頃にかけて、戦争の反省 もあって、アメリカの科学的な手法の紹介が盛んだった。 たとえば、オペレ ーションズ・リサーチ(OR)。 第二次大戦中、英米両国で軍事作戦上の研究 として発達した科学的・数学的な作戦計画の手法だ。 日本では高度成長期に、 もっぱら企業経営方法の調査・研究に応用された。 さらには、ファイリング・ システムなどの情報整理管理手法。

 私は「実学(サイヤンス)=実証科学」を説いて、科学の進歩に信頼をおく 塾祖を持つ学校に学んで、俗に計量経済学と呼ばれる経済理論・統計学・数学 を利用して、実証的な立場から数量的検証を行う経済学を専攻した。 自然科 学の手法を、社会科学にも応用する。 問題を発見し、仮説を立て、データを 集めて分析し、その仮説を検証する、結論を出して解決策を示す。 一方、加 藤秀俊さんの『整理学』や梅棹忠夫さんの『知的生産の技術』を愛読して、カ ードやファイリング、情報整理についての試行錯誤を繰り返した。 ワープロ やパソコンをいじるようになったのは、その流れだ。

 後年、父の興したガラス工場を兄と一緒に畳むことになったが、その失敗の 記録を残したかといえば、残していない。 辛うじて、毎日ブログを書き続け ていることに、そうした過去のあれこれの蓄積や無駄が生きているのかどうか。  判然とはしないのである。 これも反省して、謝るほかはない。 どうも、す みません。