野田佳彦元首相の回顧・消費増税2018/08/04 04:38

 その3日後の6月24日の朝日新聞朝刊、続き物「平成経済」第4部「老い る国 縮む社会」4、「民主主義下の財政再建は――政策決定の経験者に聞く」 というのがあった(大日向寛文・古屋聡一記者)。 元首相の野田佳彦氏の見出 しは「選挙優先積み重ね 大借金作った」、元財務次官の武藤敏郎氏(東京五輪・ パラリンピック組織委員会事務局長)は「「苦い薬」国民に説得する政治を」、 作家の堺屋太一氏は「赤字より少子化深刻 地域格差も」。

 私がまず注目したのは、元首相の野田佳彦氏の話。 「選挙を抱えている政 治家は、どうしても財政問題から逃げようとします。次の世代よりも次の選挙 を考える政治の積み重ねが、今の大借金国家を作り上げてしまったのだと思い ます。平成の間、有権者に占める高齢者の割合は高まってきました。しかも高 齢者は若者よりも投票率が高い。その結果、高齢世代を念頭に置いた政策が多 くなる。「シルバー民主主義」は、政治家と有権者の共同作業で作り上げたもの です。」

「しかし、問題を先送りする政治はいつかは終えなければなりません。私は 政治生命をかけて消費増税を決め、解散総選挙で民意を問いました。民主党は 大敗し、歯をくいしばって支えてくれた仲間を落選させてしまいました。その 心の傷は今も引きずっていますが、悔いはありません。」

 「2012年8月8日、私は自民党の谷垣禎一総裁に「近いうちに解散する」 と約束し、2日後、消費増税法を国会で成立させました。会談では、「近いうち とはいつ」との質問に答えませんでしたが、9月までの(通常)国会会期中に 解散する腹づもりでした。」  「しかし、増税法が成立した日に李明博(イミョンバク)・韓国大統領が竹島 に上陸し、外交問題で手いっぱいになってしまいました。解散の前提だった特 例公債法案などの懸案を、谷垣さんと話し合えなくなってしまいました。」  「もし予定通り9月の自民党総裁選前に解散していたら、谷垣さんが私の次 の首相になって、10%への増税を2度も延期しなかったはずです。」

 「消費増税は民主、自民、公明の3党合意で決めました。過去のように消費 税を「政争の具」にすれば、問題を先送りするだけだからです。しかし、合意 当時は(無役で)「蚊帳の外」だった安倍晋三首相は、民主党と事前調整せずに 増税を延期し、消費税をまた選挙の争点にしました。魂が分かっていない人が トップになると、苦労して作ったものが壊れていきます。」

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
「等々力」を漢字一字で書いて下さい?

コメント:

トラックバック