柳家さん喬の「応挙の幽霊」前半2023/08/29 07:11

 さん喬は白い着物、薄茶の羽織。 缶詰がいっぱい並んだのやマリリン・モンローの絵を美術館が高額で購入する。 絵の評価は、感情や感覚の違いなんだろう。 落語も、素直な気持で、嫌でも横を向かずに、聴いてもらいたい。 それぞれ、いろんなジャンルがある。 絵は、ご趣味の極みなんだろう。

 道具屋が、二三度顔を出したと、旦那様によろしく伝えて下さい。 仕入れた幽霊の絵、これで、かかあの七回忌の法要が出来る。

 ごめんよ。 旦那ですか、今日旦那の所へ伺いました。 お茶は、いいよ、不味いから。 面白い、いい品物があると聞いた、見せてもらおうか。 幽霊の絵が見つかったんです。 掛けてみます。 こりゃあ、いい、顔も楚々としていて、現世の怨みが残っている、きれいな幽霊だね。 誰の? 丸山応挙かと思います。 贋物でも、よく描けている。 下の方に白くしなだれているのは何? 萩の花で。 いいね、幾ら? 百円ですが、九十円で。 値もいいね、九十円、九十円、九十円か、買うよ。 今は金がない、五円ある、これは手金で、明日絵を届けてくれ、何時でもいい。 これは、いい絵だ。

 売れたよ。 ありがてえ、今朝、市で五円で仕入れてきた。 損はしないよ、かかあの七回忌もできる。 酒と肴、買っといたんだ、うまいもんだ。 こういう時は、幽霊さんのお蔭だから、床の間に飾ってあげよう。 きれいだ。 お酒を差し上げよう。 浅利と牛蒡の佃煮。 線香立てと蝋燭。 お宗旨がわからない、ナンマイダー、ナンミョウホウレンゲキョウ、オンアボキャベイロシャノウマカボダラ、アーメン!