もうちょっと勉強して、と吉永小百合2023/10/03 07:10

 渡哲也も、高倉健も、樹木希林もなくなって、ひとりぼっちになってしまった。 『こんにちは、母さん』の撮影途中まで、吉永小百合は、山田洋次監督とのこの映画を最後の作品にすることも考えていたようだ。 見学に来た犬童一心監督(天海祐希と共演した『最高の人生の見つけ方』の)にも、引退をほのめかしていた。 山田監督は、「吉永小百合、最後の映画」なんて、見たくないと言う。 「依然として、なんかこうフレッシュで、依然として美しくて、引退なんてふさわしくない。」 「同じ問題は、僕にもある。僕だってもうそろそろ引退だけど、最後の映画なんて作りたくない。作り終えて『その次作りたかったけれど、できなかった』ってことで、それでいいわけであってね。」

 テロップ…「終わりを決めるのは、自分ではない。」

 試写会を見終わった吉永小百合は、こう話した。 「私はもうちょっと、もうちょっとやらないと。うまくならなくてもいいの。もう芝居してないように見えるくらいに、透明感を持ちたいという、ちょっとまだね。もうちょっと勉強して、もうちょっと表現力、力をつけたいって、今、思ってますね。」

 9月1日の初日舞台挨拶でも、「123本でやめようと思っていた。1、2、3で外に飛び出すような数なんで、もう少しやってみようと思っています」と言った。 大泉洋も、永野芽郁も笑いながら拍手し、あの田中泯さえ大口を開けて笑っていた。

 プロフェッショナルとは? 山田洋次監督は、「息子や孫の代の人間がその仕事を見て、ああ、いい仕事をしているなと思うようなことを、俺はやらなきゃならないという良心を持っている。いいものを作りたいという思いを持っている。それがプロフェッショナルというもんじゃないの。」と。

 テロップ…「二人は祈る。この仕事が誰かの希望になればいいと。」