根津「はん亭」の話2005/09/10 08:18

 「谷根千ウォーク」の後で、本棚に眠っていた森まゆみさんの『不思議の町  根津』(山手書房新社)を取り出す。 食事をした串揚げの「はん亭」、谷中しょ うがや枝豆をつぶさないで団子にしたのがおいしかったが、「根津万華鏡」の章 「建築再生物語」に出てくる。 森さんの聞き書きによると、ご主人の高須治 雄さんが、35歳で脱サラして上野の本牧亭の裏で小さなカウンターの串揚げ屋 「くし一」をやって7,8年、周囲の環境が悪くなった。 そんな時、運送会社 の独身寮になっていたこの木造三階建を見てほれ込み、売る時は声をかけてほ しいと申し込んだのだそうだ。 話が本当になって慌てたけれど、両親ふくめ 六人家族を説得し、十条の庭つきの家を処分して、手に入れた。 店の名は「く し一」より半歩前に進みたいと「はん亭」とした。 建物は大正三年くらいに、 三田の爪皮屋さんという根津の大店が建てたもの、奥に土蔵があり、いま茶房 にしているところはあとで三田さんから買った。 座敷でくし揚げというのは 珍しく、揚げたてのあつあつを食べてもらうには人手がうんとかかる、客70 人に従業員が20人以上必要だという。 私も実際に見て、料理を持って急な 階段を上がるだけでたいへんだと思った。

 森まゆみさんは、「根津や谷中の民家はちっとやそっとでは残らない」「はん 亭が休日の月曜日、店の前を通るといつも何かしら大工さんが入っている。「建 物をうまく使って商売をしている」というだけでなく、それを維持するには相 当な努力と愛情がいる。そこを覚悟しなければ、こういうユニークな仕事はで きないのだと考えさせられる」と、書いている。

コメント

_ パンダ ― 2005/09/12 15:55

昼のコ−スが¥3500はちょと高いのでは・・・と常々感じていましたが、維持費を考えると仕方ないのか、と納得できました。
散策の最後に相応しいお店にご案内できたと今さらながら、一人悦にはいっております。

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