太陽活動と地球温暖化2005/09/26 08:20

 巨大ハリケーン「カトリーナ」がアメリカ合衆国を直撃して、ブッシュ政権 の根幹をも揺るがしている。 ブッシュ―石油利権―京都議定書の批准拒否― 石油の大量消費―炭酸ガス―地球温暖化―異常気象―巨大ハリケーンのしっぺ がえし、という図式が頭の中を駆けめぐった。 だが一昨24日、それは短絡 的な思考かもしれないという話を聴いてきた。

 福澤諭吉協会の第96回土曜セミナー、桜井邦朋さんの「虹と太陽―諭吉が みた自然」。 桜井さんは、前神奈川大学学長で、京大の理学部を出て同学部助 教授、地球物理学専攻で、太陽物理を研究、NASAの主任研究員、メリーラン ド大学の教授などを務められた。 今春、『福沢諭吉の「科學のススメ」―日本 で最初の科学入門書「訓蒙 窮理図解」を読む―』(祥伝社)を出版された。

 桜井邦朋さんは、その講演の中で、理科系の科学者の立場から、二酸化炭素 排出量の増加を地球温暖化に結びつけることを、留保したのだ。 1600年から 2000年の間の、太陽放射エネルギー総量(毎秒ごと)の推定値の経年変化と、地 表付近の気温変動のパターンのグラフを示し、両者の関係がよく合っていて、 1900年から2000年にかけて上昇していることに、注意をうながした。 別の グラフ(フリース・クリスチャンほかによる)では、1860年から1980年の太陽 活動周期(サイクル)の長さの経年変化と北半球における年平均気温(平年から のずれ)の経年変化との間には密接な関係があることも示した。 太陽の活動が 活発な時期には、太陽の光は明るさを増し、地表や大気や海洋をより温める。  つまり気温の変化は、太陽の活動と密接な関係がある、というのだ。 そして、 太陽の活動は、あと20年で変る(下降期に向う)だろうという。

 縄文時代は、今より3~3.5度気温が高かった。 ローマの繁栄時代は気温が 高く、中世になって寒冷化したことが民族大移動につながった。 10世紀から 13世紀にも、今より暖かかった。 という話もあった。(私は西岡秀雄先生の 『気候700年周期説 寒暖の歴史』を思い出した)

 二酸化炭素と地球温暖化の関係は、マスコミ報道その他によって、疑うこと もなく信じていた。 専門家に言われてみれば、太陽こそ本命というのはもっ ともな話で、もっと科学的に議論されなければいけない問題だと思った。