ケース・スタディー「熊本・黒川温泉」 ― 2007/07/28 07:04
「バタフライ効果」の事例として、北川正恭さんは熊本県の黒川温泉の話を した。 近年、マスメディアなどでの温泉ランキング日本一に選ばれ、脚光を 浴びている阿蘇山の北、南小国温泉郷の一つだ。 24軒の旅館がある。 一軒 だけ予約満杯だった新明館の後藤哲也さんが、“ゆらぎ”の元だった。 小笠原 さんという若い経営者が、(婿養子のフットワークの良さと、カメラ店を経営し ていた経歴から気軽に)その秘密を聞きに行く。 後藤さんは教えてくれた。 露天風呂をつくり、精神を込めて磨きぬいた。 ロケーションを考えぬき、樹 をたくさん植えて、日本庭園でなく野の山を再現しようとした。 料理にも心 を込め、情報公開して隣の旅館三軒の社長に食べてもらった。 世間に晒した 時に進歩がある。 アルミサッシは障子に替えた。
3年で小笠原さんのいこい旅館も満員になり、1+1が3~4に変る。 真似を する旅館がどんどん増えていった。 反対は温泉組合長だけだった。 転機が 来る。 2軒だけ露天風呂をつくれない旅館があった。 お客様ファーストの 考え方で、「入湯手形」を発行し、どこの旅館の露天風呂にも入れるようにした。 「入湯手形」はお宝となる。 「黒川温泉一旅館」というコンセプトだ。 旅 館全部が雑木林にし、ガードレールも、電柱も、こげ茶色の町並みにふさわし いものにして、風景を変えた。 黒川温泉は爆発的人気を得て、湯布院、別府 を抜き、日本一の予約率となった。 24馬力で、みんなが栄える。 「一人は 皆のために、皆は一人のために」だ。 気づき、共鳴、誘発、相互作用、爆発。 一羽の蝶々のはばたきが、ハリケーンを起こしたのだ。 口コミは掛け算の効 果がある。 黒川温泉の評判を2割の人が知れば、2,400万馬力にもなるのだ。
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