「鮟鱇」「煤払」選句と「季題研究」 ― 2011/12/14 04:49
ちょうど、昨日が「12月13日」で、テレビのニュースに成田山新勝寺の煤 竹を使った「煤払」の様子が流れていた。 「鮟鱇」と「煤払」の句会、私の 選句はつぎの七句。
煤竹の届いてはをる蟇股 英
畳打つ音御東の煤払 なな
煤払埃うづ巻く朝の日矢 なな
煤払追はれ追はれて仏間かな 幸雄
鮟鱇の身皮つるりと鍋中へ 六平
鮟鱇の鉤に残るは口ばかり 和子
平成や女四人の鮟鱇鍋 良
六平さんは諏訪からの不在投句。 池袋句会の幹事に問い合わせ、不在投句 のルールに「名古屋方式」というのがあるのを知って、その方式に則って投句 してくれた。 即ち、自作句を書いた短冊七枚、自作一覧を一枚、一人一句(『夏 潮』の句会報に載せる句)を書いた短冊一枚、会費を同封し、前日「必着」で幹 事に郵送する。
「季題研究」「鮟鱇」は良さん。 琵琶魚、老婆魚、華臍(かせい)魚、綬魚(じ ゅぎょ)とも。 「七つ道具」はトモ(胸ビレ)・皮・エラ・肝・水袋(胃袋)・ヌ ノ(卵巣)・台身。 「鮟鱇の吊し切り」の加藤楸邨〈鮟鱇の骨まで凍ててぶち きらる〉などの例句を挙げ、可哀想になると言い、鈴木真砂女の〈鮟鱇の吊し 切とはいたましや〉を紹介。 草間時彦さんの『季語二百解』の「鮟鱇」を読 んでくれた。 万太郎の〈鮟鱇もわが身の業も煮ゆるかな〉は、三隅一子(万太 郎が晩年長男を失った寂しさを癒すように同棲した。六十八歳と五十七歳)を亡 くした直後、〈湯豆腐やいのちのはてのうすあかり〉と同じ日の詠、と。
「煤払」は、淳子さん。 歳時記に、昔は朝廷や幕府で、12月13日に行う 年中行事の一つであり、今も寺社などで、その日に行われている、とある。 『日 本大百科全書』(小学館)に12月13日は「もとは年神(としがみ)祭りのための 物忌みに入る日」であったためという解説がある。 斎藤幸成(月岑)『東都歳 時記』三十八「商家の煤払い」に、掃除がひと通りすむと、主人を始め一同の 胴上げがあり、蕎麦や鯨汁がふるまわれた、とある。 いやがる下女まで胴上 げしたらしい。 〈十三日柱から下女をひっぱずし〉 プロ野球優勝チームの 胴上げは、江戸の「商家の煤払い」の伝統を受け継ぐものなのであった。
最近のコメント