「音楽に包まれた世田谷赤堤の街づくり」2012/06/23 03:23

 15日は、慶應三高校の新聞部OB・OG会、「ジャーミネーターの会」だった。  昨年は、われわれの学年が幹事年で、毎日新聞・主筆の岸井成格(しげただ)さ んに「震災後の混迷日本政局と経済再建の行方」という話をしてもらった。 拙 い司会を務めたが、もう一年も経つのだ。 第22回の今年は、趣向を変えて 「六所(ろくしょ)の森マンドリンクラブ」の有志をゲストに、マンドリンの コンサートを楽しんだ。 六所の森というのは、世田谷区赤堤の六所神社の森 だそうだ。

 ベース担当の窪田稔さん(今年の幹事と同じ一年下の日吉高→昭和40年法 卒)が、「六所神社の森の会」というボランティア活動の代表で、まず「なが~ く 続く小さな街づくり活動」という話をしてくれた。 窪田稔さんは、地域 でつくった小学校である赤堤小学校の1期生で、卒業して入った慶應中等部の 1年生の時から同窓会長を務め、50年間欠かさず毎年の卒業式に出席、PTAそ の他の活動で、常に赤堤小学校とともに歩んできた人だという。 慶應では、 いろいろなボランティア活動を経験、KMC(慶應マンドリンクラブ)で多くの 友達を得、音楽とマネジメントを学んだ。

 1988年、地域の遊び場の中心だった鎮守の杜で、仲の良い友人知人とワイン を飲みながら、クラシック音楽を聴く「六所の森クラシックコンサート」を企 画し、始める。 「赤堤に文化を!」をテーマに、プロのアーティストの協力 を得て、「すべて本物」「すべて無料」、野外、自然の森で篝火を焚いて、ワイン を傾け、日没時から始める幻想的なコンサートは、最近は千人前後の人が参加 して、お客様がボランティア、片付けまで皆でやるという。

 1992年、地域内の多くの任意団体が設立母体となり、6,000名の署名で教育 委員会を説得、赤堤小学校の施設の運用管理を校長から委託という形で、「赤堤 生涯学習センター」を創設、活動の場と事務拠点を得た。 オーケストラの結 成に欠かせぬ条件は、(1)指導者と、(2)常設練習場・演奏会場だが、「赤堤 生涯学習センター」の多目的室が(2)に使えることになった。 「音楽に包 まれた赤堤の街づくり」の一環として、町のあちこちでホームコンサートを展 開して3年、「赤堤に自前のオーケストラをつくろう」ということになる。  KMCの1965(昭和40年)卒業メンバーが中心になって、2009(平成21)年 12月「六所の森マンドリンクラブ」が発足し、毎月1回の集まりを楽しんでい るという。

 ずっと地域にかかわり、地域に根付いた活動が、だんだんと輪を広げていく、 息の長い街づくりの物語は、とても感動的だった。 私は浅草のコミュニティ と同じようだな、と思った。 個人的な自慢話にならないように、気をつけな がらの端々に、お人柄が出ていた。

 お話の後、メンバー有志12名の「ミレーナ」、KMCを指導していた服部正 編曲の「荒城の月幻想曲」と「蝶々を主題とせる変奏曲」、「丘を越えて」の演 奏を楽しんだ。 新趣向の会、大成功だった。