表情が険しくなった北条義時 ― 2022/05/10 07:09
『鎌倉殿の13人』、5月1日の第17回「助命と宿命」に戻ろう。 源頼朝(大泉洋)は、北条義時(小栗旬)に源義高(冠者殿)(市川染五郎)の処断を命ずる。 政子らは伊豆大権現に匿う工作。 鎌倉に来た武田信義(八嶋智人)と嫡男一条忠頼(前原滉)が、源氏として一緒に頼朝と戦おうと義高をそそのかす。 頼朝は、謀叛を企んだとして、一条忠頼を斬り殺し、武田信義から誓約書を取る。 信義は「『謀叛』は家人がするもの、頼朝を一度も主人と思ったことはないわ」と呟く。
巴御前(秋元才加)が、義仲の「鎌倉殿と平家を討て」という手紙を義高に届ける。 全成が頼朝のふりをして、義高を女装させ、岩本院まで連れ出すが、義高は信濃を目指して逃げ出す。 大姫(落井実結子・みゆこ)が死ぬと頼朝に義高の助命を嘆願、頼朝も出家するならと言うが、伊豆の武士、藤内光澄(長尾卓磨)が義高の首を持って来る。 頼朝は、藤内光澄の処断を義時に命ずる。 父時政は義時に「あの方はお前を試しておられる、いや北条を」と言う。 八重の縁者、工藤祐経(坪倉由幸)が、義時に鎌倉でしかるべき役を世話してくれと頼みに来る。 ちびっ子兄弟が工藤祐経に石をぶつける。(ちびっ子兄弟は、曽我兄弟、祐成、時致だろうか。工藤祐経は、伊豆伊東の所領を奪った従弟伊東祐親を傷つけ、その子祐泰を殺した。のち源頼朝に重用されたが、富士の巻狩で祐泰の遺子曽我兄弟に殺された。)
義時は藤内光澄を斬首にし、河原にさらす。 工藤祐経に「私にはここ(鎌倉)しかない」と言う。 姉の政子には「断じて許しませんと言ったではないですか。我らはもうかつての我らではないのです」と言う。 小四郎北条義時は、鎌倉で変わっていく。 息子の金剛(後の泰時)を抱いて、「父を許してくれ」と。 それまでの義時は、ときどき照れたような表情を見せていたが、この回からは険しい表情になった。 恐怖政治で権力を掌握していく頼朝の官房長官としての覚悟を決めたかのように。
『鎌倉殿の13人』の初めの方の義時は、頼朝を担いで平家と一戦交えようとする兄の宗時と違い、やむを得ず兄に引っ張られていくような性格に描かれていた。 2月20日の第7回「敵か、あるいは」で、坂東の巨頭、上総広常(佐藤浩市)を味方につけようと説得に行った時も、義時は、上総広常に頼朝の下、坂東武者の勢力を結集して平家に対抗しようと説く一方で、ポロリと自分は次男坊で「木簡」でも数えているほうが性に合っている、と漏らした。
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