東京の巨樹「御焼の黄泉の椎」2022/09/03 07:06

 BSプレミアムの「神様の木に会う~にっぽん巨樹の旅」(ナレーション、シシド・カフカ)が、東京の巨樹というので、どこだろうかと、見てみた。 東京といっても、三宅島だった。 活火山である三宅島は、記録に残っているだけでも、この千年の間に17回もの噴火が確認され、1940(昭和15)年からは、約20年の周期で噴火を繰り返している。 2000(平成12)年の全島避難のあった大噴火では、島全体の6割の森林を失った。

 噴火からしばらく経った後の森林の映像は、裸になった白い木の幹が、ニョキニョキと森の上に出ていた。 噴火で、主幹が欠損し、枝の折れた巨樹は、倒れて地面に突き刺さった枝から根が生えて、樹勢を取り戻す。 火山灰やスコリア(気泡に富む軽い火山岩)が堆積し、ボロボロになった樹皮にツル植物のフウトウカズラをまとった巨樹もある。 痛々しいほどに傷つきながらも、ともかく生きるのだと立ち続ける、その凄まじいばかりの生命力は、神々しささえ感じさせる。

 2000(平成12)年の噴火後、植林の仕事で三宅島に来た佐久間文夫さんは、三千を数える巨木に魅せられてしまった。 現在、環境省の巨樹・巨木データベースで、幹周りが全国一となったスダジイを「御焼(みやけ)の黄泉(よみ)の椎(しい)」と命名した。 推定樹齢千年、130センチの高さで測定する幹周りが19・27メートル、樹高15メートル。 「御焼」は火の島のこと、諸説ある三宅島の名前の由来。 「黄泉」は冥土のことだが、「蘇る」の語源と知り、あえて「黄泉の椎」とした。

 「御焼(みやけ)の黄泉(よみ)の椎(しい)」は、坪田、三宅港や三宅島空港から約4・5キロ、車で10分ほどの場所から深山に分け入り20分かかる。 近くには、噴火前の古い鳥居の一番上の笠木だけが地上に出た椎取神社(再建されている)や、原生林に囲まれた周囲約2キロの「大路池(たいろいけ)」がある。

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