この日一番、圓太郎の師匠は?2006/01/28 07:01

 23日の落語研究会では、紋付の黒い羽織で出ただけのことはあって、橘家圓 太郎の「甲府い」が一番よかった。 正月に落語を聴きに来るような、のんび りがいい、余裕のあるのがいい、なんとなくがいい、という。 世の中はカリ カリしていて、なんでも一番をめざす、金メダルを取ろう、日本一の金持にな ろう、安い金で百平米以上のものを建てたい、などという人がいるから…。

師匠に用をいいつけられたのを、他に用事があるからと断って、東京体育館 のプールで泳いでいた。 外に出たところで、師匠とバッタリ会って、師匠を しくじった。 丸坊主にして謝りに行ったのだが、心の狭い師匠は、丸坊主の 人なんかいくらでもいるからと許してくれない。 長靴に海水パンツで、麻布 十番を一周しろ、と言われて、歩いていると、110番した人がいた。 パトカ ーのサイレンが聞こえてきて、あわてて師匠の家に逃げ込んだ。 

 圓太郎は「甲府い」の途中でも、師匠に稽古をつけてもらう話をした。 最 初はサシで、きちんと座って始めるのだが、最後は師匠が横になって「そんな もんだな」ということになる。 だから「そんなもんかと思ってやっている」、 お客様には誠に申し訳ないと、圓太郎は頭を下げた。 それで師匠は誰か、帰 って調べると、春風亭小朝だった。

 そうわかってみれば納得なのだが、圓太郎は話の中に、たくみに時事ネタを 取り込む。 豆腐屋の金公がいい売り子だという話では、飛行機に乗ると最近 ではフライト・アテンダントという人がいるけれど、会社によって年嵩の会社 がある。 高級住宅街の板橋に住んでいるのだが、コンビニの売り子に、頭に 毛を足しているおじさんのいる店と、アルバイトの学生がいる店がある。 お じさんは、お釣りを差し出す時、こちらの手を挿むようにする、その手が汗ば んでいる。 甲府から出てきて、浅草の観音様でスリにやられた無一文になっ た善吉が、金公に教わって、よい売り子になる。 おかみさん連や子供達を味 方にする。 いい男、白い襟巻きなんかして、ペ・ヨンジュンに似ている。 客 がおかみさんだと、おつりに下から手を添える。 ゼンさま豆腐、とえらい評 判。 雨ニモマケズ風ニモマケズよく働き、西に肉が食いたい人があれば、危 険部位は避けろといい…。