吉野作造の生涯2006/01/31 10:41

 吉野作造について、ほとんど知らなかった。 プログラム『the 座』no.51 改訂版に、特集「吉野作造の生涯」がある。 吉野作造(戸籍名「作蔵」、大正 6年「作造」と改名)は、明治11(明治11)年宮城県古川で(姉歯元建築設計士、 小嶋ヒューザー社長と同じだ)、「綿屋」を営む父年蔵の長男として生れた。 宮 城県に初めてできた尋常中学校(後の仙台一中、現・仙台一高)、旧制第二高等 学校を、学費免除で首席卒業。 幼い頃から芝居大好きの、新聞・雑誌投稿少 年だった。 20歳で受洗、22歳で阿部たまの(20歳)と結婚した明治33(1900) 年、9月に東京帝国大学法科大学政治学科に入学している。

 海老名弾正の弓町本郷教会に通い、帝大政治学科も首席卒業(26歳)、中国の 袁世凱長男の家庭教師として天津に赴任(28歳)、帰国後東京帝国大学法科大学 助教授となり(31歳)、3年間の欧米留学をへて、大正3(1914)年(36歳)教授に 就任。 大正4(1915)年~大正7(1918)年、ただの学者にとどまらず言論人とし て、新聞・雑誌につぎつぎと評論を発表、「君主」や支配層ではなく、人びとの 利福の方法、「民本主義」を説いた(明治憲法下では「民主」は禁句だった)。 「本 当の楽しい生活は、自分だけ住心地のよい生活であってはなりません。万人が 一様に住み心地のよい生活でなくてはならぬのです。」 その思想を発火点とし て、日本には大正デモクラシーと呼ばれる時代があった。

 第一次世界大戦後の大正7(1918)年、国際連盟が生れ、吉野は「これからは 国際平和主義の時代だ」と共感、「軍縮」「普通選挙」を説き、軍部批判と軍事 教育への反対を叫んだ。 大正13(1924)年(46歳)、東京帝国大学教授を辞し、 朝日新聞社に入社するが、時局問題の発言に対する右翼からの攻撃があり、5 か月で退社。 「人世には逆境はない。如何なる境遇に在りても天に事へ人に 仕へる機会は、潤沢に恵まれてある。」 明治文化研究に没頭、独立労働協会結 成、賛育会理事長就任、社会民衆党結成に奔走する。 昭和8 (1933)年55歳 で亡くなった。

小人閑居日記 2006年1月 INDEX2006/01/31 10:45

 2746 権太楼の「芝浜」<小人閑居日記 2006.1.1.>

 2747 藤原正彦夫人の批評<小人閑居日記 2006.1.2.>

 2748 散歩と般若心経<小人閑居日記 2006.1.3.>

 2749 判官贔屓のスポーツ観戦<小人閑居日記 2006.1.4.>

 2750 “ウィキペディアWikipedia”の「義経」<小人閑居日記 2006.1.5.>

 2751 浄瑠璃姫と義経<小人閑居日記 2006.1.6.>

 2752 木下恵介監督の『二人で歩いた幾年月』<小人閑居日記 2006.1.7.>

 2753 就学援助4年で4割増<小人閑居日記 2006.1.8.>

 2754 荻野アンナさんの「ムダ口の効用」<小人閑居日記 2006.1.9.>

 2755 寅さんの口上とギリシャ雄弁術<小人閑居日記 2006.1.10.>

 2756 「福澤先生と日本橋織物問屋」<小人閑居日記 2006.1.11.>

 2757 初代堀越角次郎<小人閑居日記 2006.1.12.>

 2758 二代目堀越角次郎<小人閑居日記 2006.1.13.>

 2759 その後の堀越家と実業人の心得<小人閑居日記 2006.1.14.>

 2760 くだらなさの自覚<小人閑居日記 2006.1.15.>

 2761 「落語」ムダを許容するゆとり<小人閑居日記 2006.1.16.>

 2762 主役をはっきりさせること<小人閑居日記 2006.1.17.>

 2763 大雨の浜離宮で句をひねる<小人閑居日記 2006.1.18.>

 2764 浅草大黒屋別館での句会<小人閑居日記 2006.1.19.>

 2765 平山洋さんの講演を聴く<小人閑居日記 2006.1.20.>

 2766 マルティン・ルターの気分<小人閑居日記 2006.1.21.>

 2767 靖国神社について<小人閑居日記 2006.1.22.>

短信  2768 大村益次郎と靖国神社<等々力短信 第891号 2000(平成12).10.5.>

 2769 森山良子40周年<小人閑居日記 2006.1.23.>

 2770 デジカメのお年玉<小人閑居日記 2006.1.24.>

 2771 さん光の「無精床」、扇辰の「厄払い」序<小人閑居日記 2006.1.25.>

短信  2772 書くという楽しみ<等々力短信 第959号 2006.1.25.>

 2773 落語と“ドンバ”言葉<小人閑居日記 2006.1.26.>

 2774 「もてるお呪い」<小人閑居日記 2006.1.27.>

 2775 この日一番、圓太郎の師匠は?<小人閑居日記 2006.1.28.>

 2776 さん喬の「初天神」、小遊三の「文違い」<小人閑居日記 2006.1.29.>

 2777 こまつ座の『兄おとうと』<小人閑居日記 2006.1.30.>

 2778 吉野作造の生涯<小人閑居日記 2006.1.31.>