歌彦の「宮戸川」、左龍の「蛙茶番」2006/06/03 07:20

 三遊亭歌彦、大分県出身の由、大分では「落語研究会」の放送は、やってい なかったそうだ。 評判は聞いていたようで、上京して見られることになった 時には、高座の側にいることになった。 そんな思いのある「落語研究会」の 出演、きょうは円歌一門会を蹴って来た、という。 すっきりした、昔風の若 者の顔、おばさん顔と言ったらいいか、声も大きし、有望。 「宮戸川」、おじ さんの家の二階に、エテ梯子で上がった半七とお花、一つ布団に帯の線を引き、 浦和と大宮とに別れて(こないだ合併したという歌彦は、さいたま市の住民か)、 横になる。 漱石の『三四郎』が「あなたはよっぽど度胸のない方ですね」と いわれる一件は、この「宮戸川」から来ている、三四郎が宿帳に書く女の名前 が「花」だと、たしか半藤一利さんが書いていた。 歌彦、雷が落ちてからも たもたし、「このあとは別料金」という落ちは、いただけなかった。

 真打になって柳家小太郎改メ柳亭左龍、多髪の額の生え際中央が逆三角(あれ は何というのだっけ)で、丸顔ギョロ目、犬になって上目遣いに吠えたら、ブル ドックになった。 「蛙茶番」、伊勢屋の素人芝居で『天竺徳兵衛韓噺(いこく ばなし)』をやるのに、ヒキガエルや舞台番のなり手がない。 舞台番というの は、昔の江戸の芝居で、下手の端に半畳を敷き、着物の裾をまくって膝をむき 出しにして座り、観客が騒ぐと注意の制止声などかけていた役。 ヒキガエル は小遣いをやって小僧の定吉にやらせ、舞台番は町内の跳ねっかえりの八公を 「小間物屋の美ぃ坊が、素人がおしろいを塗りたくって、ぎっくりばったり目 を剥くのより、おしろいっ気のない舞台番に逃げ込んだ所なんぞ、粋で、いな せで、いい男だと、言っていた」と、持ち上げる。  八公は成りを地味にして、趣向にデェーマル(大丸)で、目方のたっぷりした、 丈が長めの、くわえて引っ張るとチリチリ音のする、緋縮緬のふんどしを、誂 える。 湯に行って、それを番台に預け、急に呼びに来られて、忘れてしまう。  舞台に座って、裾をまくったから、さあ大変。 「ご趣向」「大道具」と、声が かかる。 「このあとは別料金」。 爆笑噺なのだが、爆笑とまでは行かなかっ た。