横松宗さんの俳句2006/06/23 08:02

 『邪馬台』2006年夏号に、宇都宮靖さんという方が書かれた「横松宗氏と俳 句」が載っていた。 宇都宮さんは、俳人協会、現代俳句協会会員、中津で俳 句教室を指導している。 横松宗さんの辞世の句、四句がある。

 はらからはみな床の辺にありがとう

 我れ逝くもこの秋空は変りなし

 底のなき大空に向けはばたかん

 ゴミばかり残して天寿全うす

 92歳、「死を目の前にして、この透明で透徹した心境には驚く、見事と言わ ざるを得ない。悟り切った高僧の境地に達している」と、宇都宮さんはいう。  二句目以外は、定型ではあるが、季語がない。 それを宇都宮さんは、横松さ んがかつて、自由律の俳句をつくっていたことに結びつける。 自由律俳句は、 河東碧梧桐や荻原井泉水、その門下の種田山頭火や尾崎放哉が活躍した流派で、 九州では俳誌「天の川」の吉岡禅寺洞、同じく「虹波」の大分の津田露色が有 名だったという。 中津の船場町に住んでいた俳人松垣昧々(まいまい)は、 荻原井泉水の「層雲」に所属し、種田山頭火とも交流があった。 横松さんは、 その松垣昧々と付き合いがあったようで、つぎの2003年夏の句がある。

 昧々忌豆本の字も子どもらし

 昧々の豆本供へ灯をともす

 横松さんは俳句に関して、特に師についたり、結社に所属して俳誌に投句し たりする本格的な勉強はしなかったようだ。 自由に思いのままに作句し推敲 して、『邪馬台』に発表して楽しんでおられたらしい。 宇都宮さんが引いて鑑 賞している中から、何句か選んでみよう。

 妻癒えて口にやさしき新豆腐

 秋麗や先ず一勝の敬老碁

 立春や辞書になき字を探しおり

 市民病院新緑の窓開けてあり

 終焉も視野に入りたる夏布団