あと一歩足りなかった俳句たち2021/01/26 07:22

 おめでたくも元日に書いたように、私の句が俳誌『夏潮』令和三年一月号、本井英主宰選「雑詠」の巻頭に掲載された。 身体をこわされ休んでおられる先輩は、わざわざお祝いの電話をかけて下さり、何人かの句友からはお祝いのメールを頂いた。 元日の日記に令和二年の『夏潮』「雑詠」掲載句を出したが、すっかり嬉しくなって、整理が途中までで放り出してあった平成19(2007)年8月の『夏潮』創刊以来の「雑詠」掲載句を、書き出してみることにした。 巻頭は初めてだったが、あと一歩足りない、二番目が三回あった。

   2011(平成23)年11月号
昼寝して三途の川の辺まで
風通る海辺の宿の昼寝かな
箱庭の仙人不老長寿かな
箱庭に似付はしきは小糠雨

   2014(平成26)年12月号
墓参してあとのランチや生きてをる
鳳仙花人の気配に種とばす
草の花信濃追分旅籠裏
青蚊帳に螢放せし母若く

   2015(平成27)年7月号
かなりの間待たされをれど春炬燵
三椏の花の黄色の地味なるや
新旧交代まざまざ枇杷芽吹く
啓蟄と言ひて外出致しをり

 大まかに言って、わが俳句の特徴は、俳味、おかしみにあるのではないかというのが、書き出してみての感想だった。 いずれ二十句か、できれば年齢の八十句、抜き出してみたい。 話は変わるが、12月に池澤夏樹さんの小説「また会う日まで」のことを書いて、福永武彦の『草の花』を読み、中公文庫の『玩草亭 百花譜』福永武彦画文集 上中下三巻を持っている、と書いた。 だが、<草の花信濃追分旅籠裏>などという句を作っていたのは、すっかり忘れていた。