「文章の千本ノック」2006/03/12 07:18

 リンボウ先生の「書き方教室」第二回の題は「未練と独善にご注意ください」。  デビュー作『イギリスはおいしい』を例に説明。 できるだけ主観の気配を消 した。 感情語(嬉しい、悲しい、せつない、くやしい、楽しい、おいしい、ま ずい、面白い、いやだ、などの概念)を使わないで、具体的に描写する。 それ で、例の「茹でる」「茹でる」「ひたすら茹でる」まずさを、みんなが共有でき る。 臨場感が出る。 独善に陥らない。 手垢のつかない言葉で、独自に語 っていく。

 リンボウ先生、実践編として、「業務上の秘密」の一端を明かす。 メモ帳を 持ち歩き、見たことを聞いたことを、絵や地図や短文で、描写しておく。 な んでも文章の形にしておく。 「文章のデッサン」、写生文、これが作品の素材 になる。 長嶋茂雄を育てた立教砂押監督の千本ノックになぞらえ、リンボウ 先生、これを「文章の千本ノック」と言う。

 作品は、パソコンを使って書く。 利点が、いくつかある。 まず、キーワ ードを並べ、構成を立てる。 キーワードをたどりながら、初めは、書きたい だけ書いていく。 そして「1.5倍原稿」なるものをつくる。 これは、消さ ずに残す。 パソコンだと、自在に推敲できる。 この推敲が大事。 原石を 磨き上げて光らせるように、推敲を重ねることで、よい文章ができる。 「1.5 倍原稿」のコピーを、削っていく。 短くなったなりに、中身を濃くする方向 で、イメージ豊かに(読んだ人が、いろいろ想像できるように)仕上げる。 こ の時、心を鬼にして「切る」こと、あれもこれも残したいという未練を断ち切 る。