第177回福澤先生誕生記念会2012/01/14 04:41

 10日は、第177回福澤先生誕生記念会があって、三田に行った。 いつもの 仲間と会い、福澤諭吉協会でお馴染みの皆様と新年の挨拶を交わす。 幼稚舎 生の「福澤諭吉ここに在り」(佐藤春夫作詞・信時潔作曲)と、ワグネル・ソサ ィエティー男声合唱団の「日本の誇」(富田正文作詞・信時潔作曲)の合唱を聴 いていると、新しい年が始まったのだという気分になる。 「三 そら戦争が  はじまるぞ 逃げよ かくれよ 危ないと うろたえさわぐ 大江戸に 落ち 着いた人 ただひとり 福澤諭吉 ここに在り」「五 立ち騒ぐまい 学生よ  戦する人 多けれど 勉強するのは 我らだけ この日我らが なまけては  洋学の道 あとを絶つ」

 清家篤塾長の年頭挨拶、東日本大震災からの復興、経済の回復のために、慶 應義塾が貢献していかなければならないとして、福沢の言葉三つを挙げた。  (1)実学=実証科学(サイヤンス)…問題の真の姿を理解し、問題解決の筋道を考 え、復興・再生に資する科学。 昨年 6月27日、学術シンポジウム「震災後 の東日本の復興・再生に向けて」を開いた。 (2)公智…物事の軽重大小を正し く判断し、優先順位を決める。 さまざまな判断を求められる厳しい状況に対 しては、知的強靭さが必要。 被災学生奨学金制度をつくり、まず卒業25年 の127三田会の寄付が充てられたのは、公智を働かせた結果。 (3)徳心(思い やる心)…福沢は明治の津波や地震の災害にいち早く時事新報で義捐のキャン ペーン活動をしたが、義捐金だけで人々を助けることはできない、一方、思い 切った財政、公的支出が不可欠と主張した。 徳心、同情心がなければ、人の 社会は成り立たない。 その精神は、若い塾生に受け継がれ、「慶應の森」・志 木高の自然学習で縁のあった南三陸町でのボランティア活動が行われている。

 悦ばしいことは、意義ある国際交流の進んだこと。 11月17日には、ブー タン国王ワンチュク陛下を三田山上にお迎えし、経済学名誉博士号を授与し、 演説館で講演をして頂いた。 授与は、国民総幸福量(GNH)という概念を普及 させた功績によるものだ。 GNHは、健康、文化、教育、自然環境の維持。 コミュニティーの温かさ、個人の幸福度などを重視する。 ワンチュク国王は、 講演の終りに、(「私たちの世代は成長の真の目的を再定義しなくてはなりませ ん。」「新しい成長の道筋を発見する責任を皆さんに託します。是非ともこの問 題に、誠意と大きな責任を持って取り組んで下さい。しかし、何よりもまず、 皆さん一人ひとりが善良で立派な人格を備えた人間でなければなりません。」と、 語った上で)「皆さんが、最後に人生を振り返ったとき、悔いなく、幸福と達成 感に包まれ、満足のいく素晴らしい人生だったと思えるよう、お祈りいたしま す。そして、私は、皆さんが、誇りを持って、ただの一人の人間として成し遂 げたあらゆる善行の知らせが、毎年届くことを祈っています。」と、述べた。