権太楼のマクラ「柳家おじさん」 ― 2012/06/05 02:09
権太楼は、2010年暮のこの会で「富久」を演った時、11月に北海道で倒れ た、腎臓、肝臓、膀胱が爆発寸前で、北海道で死んだら不動坊火焔になるとこ ろだったと、言っていた。 その頃から比べると、ずいぶん元気になって、こ の日の、その「不動坊火焔」は絶好調、笑った、笑った、記憶に残るような名 演となったのだから、まことに目出度い。
落語の世界は、身分制度がきっちりしていて、前座といえば虫けら同然、私 の家にも一人いる。 今日座布団を引っくり返している、柳家「おじさん」、雰 囲気で付けた訳ではない、小さんの「さん」を付けて、「小父さん」では変だか ら、「小治さん」にしようかと思ったが、順を変えると小三治になるので、まず い、「おじさん」になった。 前座は、仲間内に名前を覚えてもらいたい、なか なか覚えてもらえないのだが、「おじさん」はよく覚えてもらえる。 しめこの 兎だ。
お正月、品川プリンスホテルで吉本の落語会がある。 演芸場は撤退したけ れど、ホテル本体で正月だけやる会がある。 三枝さん、文枝さんなどに、東 京からも交じる。 今年は個室でなく、大部屋にパーティションを立てた楽屋 で、いってみれば避難所のダンボールのよう。 私と仁鶴師匠、中川家などと いうメンバーで、二回の興業だった。 ひそひそ話をしているのが、聞こえる。 二度目の時、あいつ、「おじさん」がまだ仁鶴師匠に挨拶していない、と言う。 行って来いというと、「権太楼の弟子の「おじさん」です」と言おうとして、野 郎どっちらかって、「権太楼のところの「おじさん」で」と言うもんだから、仁 鶴師匠、「あー、そうでっか、権太楼さん、ずいぶん元気になって、肥らはりま したな」。 「おじさん」でなく、「おばさん」にしときゃあ、よかった。 で も、何年かすると、案外大きな名前になっているかも知れない。
(興味のある方は、「柳家おじさん」を「画像」で検索!)
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