「プロ野球と学生野球」の違い ― 2013/01/22 06:37
江藤省三監督は就任の記者会見で、「プロ野球と学生野球」の雪解けに厳し い記者の質問を浴びた。 慶應が一番に反対すると思ったというのだ。 前島 信野球部長(理工学部教授)が、「私は数学のプロで学生に教えている、野球 のプロが何で教えちゃあいけないのか」と言ってくれた。 今に見ていろとい う反骨心がむらむら湧いて、「優勝しますよ、勝ちますよ」と言った。 興奮 すると、いらんことを言うのは、夫婦喧嘩と同じ。
学生を見て、「のびしろ」があると感じた。 200人、全体を横一線に見る ことにした。 前年2位、勝率1位の20~30人の試合に出た選手のほかに、1 ~2人でも、必ずいい選手がいるはずだ。 プロのレベルから見ると、レベル は低い。 でも、野球に飢えている、教えてほしい、という気持が出ている。 やり方によっては勝てるな、と感じた。 千本スイングをやらせた。 スイン グさせて、遅い、波打っているよ、軌道がバラバラ、と。 王選手が55本ホ ームランを打った時にプロに入ったのだが、刀で吊り下げた短冊状の紙を切る、 あれは同じ軌道でないと切れない。 阪神に行った伊藤隼太キャプテンは、中 京大中京高の後輩だが、千本スイングを「高校でやりましたよ」と言って、進 んでやったので、みんなもやるようになった。 ENEOSへ行った山口尚記は、 最初は嫌だったが、振った後に、冬、シャツ一枚になって汗を拭いて、達成感 を初めて感じたと、言っていた。 前年までに試合に出ていた連中に抵抗感が あった。 自分達はこれでいいんだ、という気持があった。 学生コーチも、 コーチでなく、アシスタントにした。 反骨心、あの野郎、今に見返してやる、 という気持が大事。 最初、立教に負けた。 ふつふつと反骨心が湧いた、箱 根駅伝の日体大と同じだ。
プロ野球と学生野球、一番の違いは、プロは全てがお金だというところ。 成 績がお金、年俸に換算される。 今は、数字だけ、ホームラン数、打率、勝利 数、タイトルなどで評価される。 成績が悪ければ、クビになる。 自分は、 一年契約を40何回かやった。
学生野球は、文武両道。 自分達の頃、早慶戦の週は、学校へ行ったことが なかった。 今は、早慶戦でも、選手がいないことがある。 今の学生は頭が いい、パソコンで練習メニューを作ってくる。 授業時間を外して、沢山来ら れる曜日も、レギュラーが10人いない曜日もある。 「授業かよ」と言った。 これは、きつかった。 他の学校の監督はウチもというけれど、違う、東大の 監督とだけ話が合う。
指導者としては、プロの場合、年間144試合で考える。 我慢して使うと、 よくなることがある、日本ハムの中田翔がいい例だ。 大学は、そうはいかな い。 その時に、調子のいい人を使う。 でないと、勝てない。 去年は一番 強いチームが出来た、と思った。 これで勝てないわけはない、と。 ところ が、そうは行かなかった。 難しかった。 前年、前々年を見ていて、ここま で上がって来るだろうと思った選手が、上がって来なかった。 自分の子と同 じで、情が移る。 使ってしまう。 今年、もう一度、初心に帰って、もっと 厳しく、一からスタートしよう、パッパッと選手に接しようと、思っている。
(江藤省三監督については、2011年 6月のこの日記に、18日「全日本大学野 球選手権決勝戦」、19日「江藤省三監督が変えたこと」、20日「江藤省三さ んの野球人生」、23日「江藤省三監督の選手掌握術」を書いていた。)
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