ブレイクスルーの知恵はないのか2021/08/21 06:53

 そのように見てくると、小和田恒さんが裁判所長を務めた国際司法裁判所(ICJ)が、国連(国際連合)の一機関であることがわかった。 すると、国際司法裁判所が、国連の問題点と関わりがあり、影響を受けることが想像できる。

 小和田恒さんは、先日みたように、国際法学が目指す理想と、国際関係学が取り組む現実のギャップを埋める努力がなく、国際社会観を乖離させてきたのではないかとして、近代以降の歴史の流れを巨視的に見て『国際法と国際関係の相互作用』を的確に捉えることが、世界に安定をもたらす道だと、考えている。

 ウェストファリア条約で、主権尊重と内政不干渉を中核に主権国家が併存する近代国際秩序の枠組が確定したことから、近代国際法学が発展した。 中国の新彊ウイグル自治区やチベット、香港、台湾の問題、ミャンマーの軍政、ロシアのクリミア・ウクライナ問題、シリア難民、アフガニスタンのタリバーン政権掌握などの問題解決に、国連や国際法学は無力なのであろうか。 「主権尊重と内政不干渉」と「世界の平和と安定の達成」との兼ね合いは、どのへんにあるのだろうか。 各国が協調した国際協力の力には限界があるのだろうか。 限界突破の突破口を見出す、ブレイクスルーの知恵はないのか。 東京大学とライデン大学が共同で『国際法と国際関係の相互作用』を中心テーマに、この秋に始める「小和田恒記念講座」に期待したい。