東京駅ドーム天井の干支(えと)の謎2014/02/22 06:31

 昨年10月5日、慶應志木会の「歩こう会」で丸の内界隈と皇居東御苑を散 策し、10月17日から20日までの当日記に書いた。 創建当時の姿にリニュ ーアルされた東京駅丸の内駅舎は、明治から大正にかけて活躍した建築家・辰 野金吾の設計で、明治41(1908)年3月に着工し、大正3(1914)年12月に 開業した。 最初に集合した丸の内南口のドームについて、新知見があったの で書いておく。

 八角のドーム天井を見上げると、八角のコーナーに左を向く八羽の勇猛な白 い鷲が取り付けられている。 創建時の意匠に復元されたもので、両翼を広げ た大鷲は、約2.1メートルの大きさがあるそうだ。 そのそれぞれの脚下に、 灰緑色のバックに白いガラス繊維強化石膏(GRG)でつくられた干支(えと) の彫刻がある。 それをよく見ると12ではなく、8つしかない。 1月31日 のテレビ朝日「モーニングバード」で、その謎解きをやっていたそうだ。 風 水の鬼門、裏鬼門にあたる干支2つを省き、さらに鬼門、裏鬼門の方角を打ち 消すために、両者を結ぶ線と直角の方向にある干支2つを省いたのではないか という推理だったという。

 東京駅にないのは、卯(うさぎ/東)、酉(とり/西)、午(うま/南)、子(ね ずみ/北)。 その彫刻は、辰野金吾の出身地(生れは唐津市)、佐賀県武雄市 の武雄温泉の楼門にはめこまれているのだそうで、2月1日限定だったがJP タワーで展示され(ただし、卯と酉は写真パネル)、この日、東京駅周辺には長 い時を超え、省かれた4つも含めて12の干支が1日だけ勢揃いしたそうだ。

 上の「モーニングバード」の推理だが、ちょっと疑問が残る。 鬼門は艮(う しとら・丑寅)、すなわち北東、裏鬼門は坤(ひつじさる・未申)、すなわち南 西にあたる。 「風水の」というのも、日本で普通にいう方角と同じらしい。 とすると、卯(う/東)、酉(とり/西)、午(うま/南)、子(ね/北)と、方 角が合わないではないか。 さらに八角のドームを等分して、丑、寅、辰、巳、 未、申、戌、亥を飾ると、卯、酉、午、子が抜けた分、方角が正しく出ないこ とになる。 謎は、深まるばかりだ。

 「武雄温泉の楼門」は、温泉入口に立つ竜宮を連想させる鮮やかな朱塗りの 門で、国指定重要文化財、天平式楼門と呼ばれる釘が一本も使われていない建 築物だという。 平成15(2003)年3月に復元された武雄温泉新館と楼門は、 辰野金吾の設計で大正4(1915)年に建てられたのだそうだ。 「武雄温泉の 楼門」を「画像」で検索すると、楼門と新館、それに卯、酉、午、子の写真を 見ることができる。

 これを書き終わった後、古い新聞を見ていて、16日の日曜日夜9時にBS朝 日が「東京駅100年の謎~近代建築の父・辰野金吾の暗号~」を放送していた ことを知った。 残念! どう謎がとかれたか、見た方がいらっしゃったら、 教えてください。