男鹿半島の「爆裂火口」と「石焼き」 ― 2018/05/27 06:51
大龍寺から、夕景の中、男鹿半島西岸の観光道路を行くはずだったのだが、 生憎の天候で、おそらく「なまはげライン」という山側の観光道路を通ったと 思われ、男鹿温泉郷を右に見て、西岸の戸賀湾岸をぐるりと回って、GAO男鹿 水族館の高台にある「海と入り陽の宿 帝水」に到着した。 同行したJTB秋 田の若い添乗員作成の「旅のしおり」では、「海と入り湯の宿 帝水」となって いて、最初、露天風呂に「海水でも入るのか」と思った。 「湯」は「陽」の 単なる誤記だった。 高校新聞部出身の悪い癖が出て、ご本人に直接話したら、 まったく気付いていなかったので、ついでの老爺心ながら、例年は留守宅用の 「旅のしおり」も付けると、余計なことを言った。
バスガイドさんによると、戸賀湾と、その内陸にある、二ノ目潟、一ノ目潟 (天然記念物)は、鹿児島県薩摩半島南東部にある池田湖と同じ「爆裂火口」 「マール」だという。 「爆裂火口」はexplosion crater、「火山の爆発的な噴 火によって生じた火口。山体の一部が吹飛ばされ、漏斗状の凹地ができる。マ ールも一種の爆裂火口である。」(『ブリタニカ国際大百科事典』) 「マール」 はMaar(ドイツ語)、「火山の形態の一種。爆発的噴火によって生じた円形の 小火口のうち、砕屑(さいせつ)物の堆積が少ないため山体を形成するに至ら ないもの。秋田県男鹿半島の一ノ目潟・二ノ目潟の類。」(『広辞苑』)
なお、『広辞苑』では、「池田湖」はカルデラ湖としてあり、『大辞泉』ではカ ルデラ湖としつつも、追記に「鰻池や山川(やまがわ)湾などのマール群とと もに、「池田・山川」として活火山に指定されている」とあった。 そこで「カ ルデラ湖」だが、「カルデラcaldera(火山性の火口状凹地で直径が約2キロメ ートルより大きいもの)の全部ないし大半に水をたたえた湖。」「カルデラ床の ほとんどに湛水している場合をさし、カルデラの一部だけを占める火口原湖(榛 名湖・芦ノ湖)とは区別される。」「水深が深く、田沢湖(423m)、支笏湖(360 m)、十和田湖(327m)、池田湖(233m)、摩周湖(211m)など、第5位まで の深湖はすべてカルデラ湖である。」(『日本大百科全書』)
「海と入り陽の宿 帝水」の夕食に、温物「秋田牛の石焼き」と、留椀「男鹿 の石焼き」が出た。 「秋田牛の石焼き」は、やや厚めの薄切り牛肉とパプリ カなど数種の野菜を、黒っぽい焼けた丸い石の上に、自分で乗せて焼くもの。 「男鹿の石焼き」は、料理する人が、直径50センチ位の桶の水の中に、魚や 野菜を入れ、その中に焼けた石を入れて、豪快に沸き立つところへ、土地の味 噌を溶き加えて供する。 どちらも焼けた石がよく割れないものだと、質問が 出た。 石は溶岩で、一回しか使わない、専門の業者が海に潜って取るという ような話だった。 「石焼き」で、『日本大百科全書』を引くと、「石を熱して 熱源とする料理法。各地に石焼きの郷土料理があるが、名称は同じでも内容は 違う。原始的な料理法で、野趣がある。」として、「秋田県男鹿半島の石焼きは、 海女がとった生きた海の小魚を器の中に泳がせておき、その中に熱い小石を数 多く加えて煮る。」とあった。 「帝水」での料理は、それを洗練しパフォーマ ンスにしたのであろう。
男鹿半島の「爆裂火口」「マール」と「石焼き」、NHK「ブラタモリ」の恰好 のネタなので、企画したら面白いと思った。 (写真は、「海と入り陽の宿 帝水」から見た戸賀湾)
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