「コソアド系」[昔、書いた福沢209]2020/02/09 07:56

          「コソアド系」<小人閑居日記 2005.1.12.>

 暮に届いた『福澤諭吉年鑑31 2004』を、ぼつぼつ読む。 進藤咲子東京 女子大学名誉教授の「勝海舟の談話語―『海舟語録』を資料として―」が興味 深い。 晩年の勝海舟が『海舟語録』でしゃべっている体言、動詞・指定表現・ 補助用言の用例を洗い出して、江戸言葉から東京語への変遷の過程を考察して いるものだ。 体言では、江戸語以来の普通語・俗語として、田舎ツポウ、(学 問が)淵博、嚊(かかあ)、ケチ(ケチーとも)、七両二分(江戸時代間男の謝 罪金額)、なんぼ、馬鹿奴、やかましや。 明治のことばと考えられるのが、間 (あい)の子、演説、海軍卿、機会的、金貨本位、元勲、御陪食、参議、シヤ ツ、征韓論、政府病、全権、大臣、勅任、藩閥、貧民、文明、明治政府、野蛮、 理想、猟官、憲法、雑居(内地雑居)、(文明の)流儀、などだという。

 代名詞の用例を挙げたところで「コソアド系」の語を使う場合が多い、とあ った。 「コソアド系」という言葉を知らなかった。 アチラ、アノ、アレ、 アレ等、コチ、コツチ、コノ方(ほう)、ソレなどだから想像はつくが、『広辞 苑』を引く。 「(国語学者佐久間鼎による命名)「しじご(指示語)」参照」と ある。 そこで「指示語」とは「物事を指し示す機能を持つ語。「これ・それ・ あれ・どれ」「こう・そう・ああ・どう」の類」。 老人になると多用する語だ。  そこで新しい言葉を思いついた。 「コソアド系」老人。