轟亭の小人閑居日記 　　　馬場紘二

　浅草の「ちんや」では、私が幹事の大学のクラス会も二回開いている。　前の東京オリンピックが開かれた昭和39（1964）年卒、慶應義塾大学経済学部U組クラス会である。　 2003（平成15）年11月7日（金）にやって好評だったので、また東京スカイツリーが5月に開業した年、2012（平成24）年10月12日（金）にやったのだった。　実は2003年の時、少し前の10月24日に兄が急逝したので、個人的にはつらい時期だったが、予定通りに開き、案外浅草を知らない級友が多くて、「すきやき」も評判がよかった。　直前に亡くなった三菱自動車社長の園部孝君のご冥福を祈って全員で黙祷したことも印象深い。

　2012年の時は、たまたま「ちんや」にテレビ朝日のクルーが入っていて、取材させてもらっていいかと言われて応諾、クラス会の宴会場にカメラが入って、 食べているところを撮影し、感想を聞いて回った。　後日、BS朝日中村吉右衛門が案内役の「美味しさの物語　幸福の一皿」という番組で放送された。　「すき焼き」関東風と関西風の比較がテーマで、関東風の「ちんや」へ取材に来ていたのだったが、仲間の何人かがしゃべっている映像が流れた。

　「ちんや」に最後に行ったのは昨2020年1月19日、大相撲初場所の中日を家族で見物した帰りに、予約しておいて寄った。　ひさしぶりに行ったら、きれいに改装されていて、洋式の個室が快適だった。　売り出し宣伝中の熟成赤身肉にし、大ぶりの大鰐温泉もやしが珍しかった。