ゴルバチョフ氏を悼む、そして氏自身の、言葉2022/09/13 07:15

 元ソ連大統領、ミハイル・ゴルバチョフ氏が、8月30日に91歳で死去した。 ゴルバチョフ氏の近年の発言と業績については、2020年10月に下記を書いていた。
核軍縮を実現し、冷戦終結を導いたゴルバチョフ氏の発言<小人閑居日記 2020.10.2.>
「核抑止力は、世界を絶え間ない脅威にさらし続ける」<小人閑居日記 2020.10.3.>
「チェーホフの銃」、核兵器はいつか火を噴く<小人閑居日記 2020.10.4.>
コロナ禍を契機に、対立から協調へ<小人閑居日記 2020.10.5.>
文明の岐路、緊急に国際協力体制の再建を<小人閑居日記 2020.10.6.>

 ゴルバチョフ氏の死去を悼む、各国首脳のメッセージが報じられた。
 英国のジョンソン首相(当時)は、「冷戦を平和的に解決させた彼の勇気と誠実さにいつも敬服していた」「プーチン氏がウクライナに侵攻している今、ソ連を解放したたゆまぬ献身は、我々の手本であり続ける」とツィッターに投稿。

 ドイツのシュルツ首相は、「ペレストロイカ」(立て直し)がロシアで民主主義を確立する試みにつながり、中東欧の民主化運動や東西ドイツの統一、「鉄のカーテン」の消滅につながったことを「忘れてはならない」とする声明を発表した。 メルケル前首相も、「一人の政治家がいかに世界を良い方向に変えることができるかを彼は実証した」「私の人生を根底から変えてくれた。そのことを決して忘れない」と声明した。

 フランスのマクロン大統領は、「ロシア人に自由への道を開いた」「欧州の平和への献身は、私たちの共通の歴史を変えた」とした。 ブッシュ(子)政権で国務長官を務めたコンドリーザ・ライス氏はツィッターに「彼の勇気がなければ冷戦を平和裏に終えることはできなかった」と投稿した。

 ゴルバチョフ氏が残した言葉の数々も、改めて報じられた。
「チェルノブイリ原発事故は、核戦争が起きたらどんな悲惨な状態になるかを改めて示した」(事故から18日後の1986年5月14日)
「力による平和は対決に立脚しており、本質的に不安定だ。こうした貧弱な平和はもはや許容されるべきではない」(1987年12月8日、ワシントンでのINF(中距離核戦力)全廃条約調印式で)
「熱い戦争をソ連側から仕掛けないことを誓った。新しい時代、長い平和の時代にいま、入った」(1989年12月3日、マルタでの米ソ首脳会談)
「ソ連は深刻な経済危機にある。我々は間違っていた。我々を助けてほしい」(1990年10月15日、米ミネアポリスで経済人に)
「私と共に正義と善良の事業を擁護した人々に心から礼を言いたい。いくつかの誤りは避けられただろう。多くのより良いことができたはずだ。しかし、遅かれ早かれ我々の共通の努力は成果をもたらすだろう。我々の諸民族は繁栄し、民主的な社会に暮らすことになるだろう。くれぐれもご機嫌よう」(1991年12月25日の辞任演説)

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