「金がない」福沢、暮らしの隅々まで関心2024/01/14 07:39

 記念講演は、作家の荒俣宏さんの「わが『福澤伝』を語る」だった。 荒俣宏さんは、『福翁夢中伝』上下巻を、12月に早川書房から出版した。 1970(昭和45)年法学部卒、日魯漁業に10年勤務、サラリーマン時代に出した『帝都物語』が500万部の大ヒット、以後、ジャンルを超えた執筆活動を続け、著書は300冊ある。

 荒俣さんは、女性の司会者に「荒俣宏君」と呼ばれ、「荒俣宏君とは、俺のことかと思った」、団塊の世代(1947(昭和22)年生れ)も長老になった、と始めた。 早川書房の社長に、福沢諭吉を小説的に書いてくれと頼まれ、4年かかってやった。 今日、慶應義塾に来て、福沢の考え方が残っているなあ、と感じた。 誕生記念会と名刺交換会がくっついている。 福沢を読むと、「金がない」というのが、何度も出て来る。 学校を、一人で作ったんだから、無理もない。 しかも洋学だから、攘夷の連中に殺されるという時に、生徒を集めて、飲み食いもさせて。 それも脱サラで、子供を十何人も育てるようなものだ。 福沢式経済学は、「金がない主義」、経済に生かす。 アルバイトで、翻訳家、作家になる。 自分も、大学3年の時、アルバイトで早川書房に雇われて、SFの翻訳をしたのが始まりで、福沢さんと同じようになった。

 福沢は、本屋の株に入って、福沢屋諭吉、本屋になった。 本屋は、作者を生かさず殺さずで、金を取るのは技術者、板を彫ったり、デザイナー、本を売る人。 作家じゃ食えないので、本屋になる。

 塾では先生にお辞儀をしなくてもいい、目礼すればいい。 理由が偉い、忙しい世の中だ、時間の節約になる。

 福沢は、消費組合(共済組合)も作った。 寄宿舎、アパートをつくった。 生活の場、大きな洗濯場があり、赤ちゃんのおしめが干してある。 つまり、生活の段階からスタートしている。 まず、食わなければならない。 暮らしの隅々まで関心を持っていた。 平田彩奈惠(獨協大学?)の国学の研究によると、昔は、町の人に教えるのに絵で図解して教え、弟子の若いのは2歳からいて、身体で吸収する、お母さんの役割を果たしたという。 福沢も、そういうことをやっている。 生活の立ちゆくことが、世の中を独立自尊の世にする。 現在の、ヒントになる。 小銭をこそこそ貯めて、貯金をする。 一般の日本人の暮らし方、貯蓄(個人資産)の多いのを世界の人は驚く、特にアメリカ人は…。                          (つづく)

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