志ん輔の「豊志賀の死」、娘十八問題2005/11/05 07:05

 古今亭志ん輔の「真景累ヶ淵より 豊志賀の死」。 一晩に聴いた落語を四日 も書いてきて、娘の十八歳という年齢が大切だということに気がついた。 「明 烏」の浦里も、「おかふい」のおりえも、「豊志賀の死」のお久も、十八だった。  そういえば多少器量は悪くても娘ざかりは美しいということわざもある。 「鬼 も十八番茶も出花」。

「豊志賀の死」は三角関係のもつれである。 堅くて、器量が良くて、芸も しっかりしている富本節の師匠豊志賀(39)のところに、弟子連中も了解して、 女中代わりに子供ほどの年の新吉(21)が住み込む。 それが11月の吹き降りの 気味の悪い晩、男女の仲になる。 豊志賀は新吉がかわいくってしかたがない。  新吉は増長して、いつまでも寝ているという風だから、たちまち噂は広まり、 弟子の男連中がやめ、女たちも引く。 たった一人、根津惣門前の羽生屋の娘 お久(18)だけは通ってくる。 豊志賀はお久が新吉目当てではないかと疑い、 稽古中もいじめるのだが、それでもお久は通い続ける。 豊志賀の目の下にぽ つんと出来たおできが広がり、顔半分が青黒く腫れて、寝付いてしまう。 新 吉は看病に努めるのだが、豊志賀のお久に対する嫉妬はエスカレートする。 寝 かせてももらえぬ新吉は、これでは体がもたないと叔父に相談に出かけたとこ ろで、お久に会い、寿司屋の座敷で、俺はお前を取るとお久を選び、一緒に下 総羽生村へ逃げる決心をするのだが…。

長井好弘さんの解説によれば、志ん輔は豊志賀を「オバケの怖さでなく、女 の嫉妬の怖さを、可愛らしく、いじらしくやりたい」という師匠志ん朝流でや りたかったらしい。 志ん輔は見事に物語ったのだけれど、十八を相手に、三 十九をかわいらしく、かわいそうにやるのは、なかなか難しい仕事なのだった。

コメント

_ 宇佐美 孝子 ― 2005/11/05 15:00

お久し振りです。先日は沢山50円切手をありがとうございました。助かります。等々力短信のようにはいきませんが、絵手紙で発信しています。私の生涯教育?は絵手紙です。
登紀子さんにも宜しくお伝えください。
なかなかパソコンを開く時間がなく、今日久振りに読ませていただきました。楽しく拝見していたらあっと言う間に1時間30分がすぎました。教訓としてこれからは、ためないで見るようにします。有難うございました。

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