ふんどしと水泳パンツ2006/03/23 07:50

 占領下の当時、神宮プールは接収されていたはずなのに、なぜか水泳の試合 はみんな神宮プールで観た記憶があった。 夜間照明に照らされた、あの美し い空色の、水の色が忘れられない。 古橋広之進さんの「力泳五十年」に、そ のへんの事情が書かれていた。 日本人が神宮プールで泳げなかった理由は、 ふんどしで泳ぐためだったという。 米国の婦人や子供たちが来るプールに、 ふんどし姿は不衛生で野蛮ということだった。

 1947 (昭和22)年、選手一人に一枚の水泳パンツが配給になった。 どのよ うなルートで調達されたかわからず、スフでできた、ペラペラで透けて見える ようなものだった。 水泳連盟の関係者がいろいろGHQに働きかけ、選手た ちも「こんどこういうパンツをはくから」と米軍の人にかけあったりして、そ の年7月末、試合の時だけ、という条件つきで、神宮プールが使用が許可され ることになった。

 8月8日から三日間、全日本水泳選手権大会の決勝が、神宮プールで開かれ た(予選は東伏見の早大プール)。 古橋さんたちは、下にふんどしをつけ、そ の上に水泳パンツをはいて、レースに臨んだ。 8日の400m自由形準決勝で、 古橋さんは4分38秒8の長水路(50mプール)世界最高記録を出した(世界記録 は1936(昭和11)年ベルリン五輪でのメディカ(米)の4分44秒5)。 9日の決 勝ではビル・スミス(米)が短水路で記録していた4分38秒5をさえ上回る4 分38秒4の世界記録で泳いだ。 しかし、これらの記録は、日本の水泳連盟 が国際水泳連盟から除名中のため、未公認の幻の世界新記録となったのだった。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
「等々力」を漢字一字で書いて下さい?

コメント:

トラックバック