日本史上最大の事件と慶應義塾2007/07/10 07:07

 6月28日の木曜日、第684回三田演説会があった。 白井厚慶應義塾大学 名誉教授の「アジア太平洋戦争下の慶應義塾―故きを温ねて新しきを知ろう―」。  白井厚先生の仏書講読の授業は必修科目だった。 たしかソレルの『暴力論』 という難しい本まで読んだはずなのだが、夢の如し、フランス語はすべて忘れ て、温ねようもない。 その後、塾員文庫主宰の栗原嘉明さんから先生の退職 記念論文集で、白井ゼミの共同研究の成果『大学とアジア太平洋戦争』(日本経 済評論社)をいただき、「戦争を語り継ぐ」という「等々力短信」第781号 (1997.8.15.)を書いた。 今回のお話の内容は、まったく知らないわけでは なかった。 やはり聴きにいらしていた栗原嘉明さんとも、挨拶した。

 まず「アジア太平洋戦争」。 「太平洋戦争」というのは、アメリカから強制 された名前という面もあり、中国を始めとする国々を軽視している、日本はイ ンドまで攻め込んでいる。 「15年戦争」という言い方もあるが、実際には 13年6か月だ。 日本史上最大の事件で、日本人は310万人が亡くなった(も っと多いかもしれない)。 中国では2,000万から3,000万人が亡くなり、ア ジア全体では日本の10倍以上の人が死んでいる。 国の内外にこの惨憺たる 被害を及ぼしたあの大戦において、慶應義塾はどんな状態であったのか。 来 年創立150周年を迎え、「未来への先導」をテーマに掲げる慶應義塾が、未来 を先導するためには、過去の歴史を忘れてはならない、というのが白井厚さん の演説の趣旨だった。