夢吉の「よいよい蕎麦」2010/05/29 06:31

 27日は第503回の落語研究会だった。

「よいよい蕎麦」     三笑亭 夢吉

「不動坊火焔」      春風亭 柳朝

「天狗裁き」       柳家 花緑

         仲入

「辰巳の辻占」      瀧川 鯉昇

「柳田格之進」      古今亭 志ん輔

 夢吉、2008年の8月に「狸賽」を聴いて「三笑亭夢吉、初めて見る。夢丸の 弟子だそうだが、その夢丸も知らない。夢楽の系統か。噺家らしい顔かたちだ」 「二ッ目になって二年というにしては、なかなかいい」と、書いていた。  「よいよい蕎麦」、初めて聴く噺だ。 ご多分に洩れず、夢吉もその理由を(1) たいして面白くない (2)後半、放送禁止用語を連呼する、ためだという。  収録するのでメークアップもしたが、ディレクターに聞くと、人気者、上手い 人、話題の人以外(放送しないから)、二ッ目は大丈夫と言われた。

 田舎者が二人、江戸へ出て来る。 片方が腹を空かせて動けなくなる。 コ ジエモンの方は、父ッつぁまに連れられて、一度来た事があった。 コジエモ ンは大福餅のウグイス色のを見て、「中はあん(何)かね?」「中はあん(餡) です」と珍問答、一銭と聞いて驚き、安くて腹の足しになるものを探す。 一 山五銭のタドンを買い、相棒はそれを食べるはめになる。 ジャリジャリして、 パサパサして、こげくせぇー、まずい。 父ッつぁまが、江戸では蕎麦を食え と言っていたのを思い出し、蕎麦屋へ。 かけ蕎麦の食べ方がわからない。 上 げ底だといいながら、つゆをかけてビチャビチャに。 蕎麦ちょこを教わって、 長い蕎麦をそこに入れるのに一苦労。 赤と白の薬味はタダと聞いて、唐辛子 を真っ赤にかけたりする。

 そこへ江戸っ子が入ってきて、サーッと恰好よく、蕎麦を手繰って、つゆの 中に油虫が入っていたと、文句を言い、つい忙しかったんでと言い訳するのに、 「もう、よいよい」と店を出る。 早口を聞き取れなかった田舎者に、店の者 は「とてもよいよい、と褒めてくださった、重ね言葉が江戸では流行っている」 と教える。

 芝居小屋に入った二人、客が役者を褒めるのを真似して、周りの客と役者の 顰蹙を買う。 「真ん中のお役者様、よいよい!」「よいよい役者!」

 夢吉、一生懸命演って、なかなかの出来なのだけれど、初めに断わった通り の噺で、割り当てられたのが気の毒だった。 大看板ででもなければ、手に負 えまい。

 余談だが、某三越のテレビ通信販売のフリーダイヤルも4141、発音によ っては放送禁止用語になる。