『気候700年周期説』と御神渡り2010/05/15 07:00

 諏訪湖の御神渡り(おみわたり)で思い出した。 学生時代に文化地理研究 会でお世話になった西岡秀雄先生の『気候700年周期説 寒暖の歴史』(好学 社)に、「諏訪湖の冬季不凍」という章があった。 西岡さんは、神渡り現象を 説明し、長野県諏訪郡中洲村神宮寺大祝の旧家、大祝諏訪家に残る「當社神幸 記」(社も神も示偏)に長期間にわたる神渡りの記録があることに言及している。  室町時代・足利義勝の嘉吉3(1443)年から、明治5年まで(一時中断し、明 治26年から再開)、毎年の観察記録が奉行所に報告されている。

 それによると、湖面凝結して、2,3日目に神渡りが起こり、そのまた2日前 後に第2回目の神渡りが起こる、これを「重ねての神渡り」と称する。 早く 凍結する年もあれば、遅くなる年もあって、一様ではない。 稀には湖面が凝 結しても、神渡りのない年も散見される。 西岡さんは「気候700年周期説」 の立場で「暖期」と考える室町・桃山時代の神渡り記録に注目する。 すると、 永正4(1507)年から11(1507)年の連続8年間、天文15(1546)年、弘治 元(1555)年にも、諏訪湖は凍結していない。 西岡さんは、それを木曾檜の 年輪成長記録と照合して「諏訪湖凍結月日変化曲線」(西岡原図)というグラフ にしている。  そして、諏訪湖は大正3年頃には結氷の厚さ60センチを超えていた(戸丸 暁鐘『下諏訪案内記』23頁・大正3(1914)年)が、最近(昭和24(1949) 年刊)は10センチないし20センチで、再び「暖冬期」に向かっていることを 示している、と書いている。  (西岡秀雄先生と『気候700年周期説 寒暖の歴史』については、この日記 の2008.7.30.~8.4.を参照のこと)

 そういえば、以前は新聞にスキー場の積雪と共に、スケート場の氷の厚さの 報道があったが、最近は見かけない気がする(関心もないが)。 諏訪湖が凍っ た話など、とんと聞かなくなった。 「天然 スケート場」で検索したら、シ ーズンには近辺に、茅野市 運動公園 国際スケートセンター(屋外スピード・ 屋外ホッケー)、茅野市 蓼科湖(屋外)、下諏訪町 小湯の上 秋宮スケートリン ク(屋外フィギュア・日本初のフィギュアスケート大会が開かれた)、岡谷市 や まびこスケートの森 国際スケートセンター(屋外スピード)などの天然リンク のあることがわかった。