最近、読んだものから三つ2011/08/09 05:32

 丸谷才一さんの、「そのときは皇居を開放せよ」(『図書』8月号「無地のネ クタイ」15)より。 「他の区がそれぞれ避難場所を数多く設定してゐるのに、 千代田区だけがこれを怠り、をかしな言ひわけを連ねてゐるのは不思議である。 何しろ日比谷公園の名をあげることさへしないのだ。これは、もしもこの問題 に触れたら皇居のことを意識させるからまづいと恐れてゐるのではないか。難 民が殺到し乱入するのは皇居の尊厳をけがし、畏れ多いと案じてではないか。」 「その方に敬意を表するあまり、大災害の場合にもあれだけの面積のほぼ無人 の土地を活用せずにはふつて置くのでは、民衆の怨みを買ふ。それは国民統合 の象徴である方の名誉を傷つけ、位置をあやふくすることにならう。千代田区、 東京都、内閣、宮内庁の深謀遠慮に期待する。」

 森永卓郎さん(コレクション10万点の経済アナリスト)の談話、「「断捨離」「す っきり」はリスクが高い」(8月3日付朝日新聞朝刊「オピニオン」)。 「心 のガラクタは必要なんです。捨ててはいけません。だって、すべての発想や豊 かさの源ですから。新しい物や考えというのは無駄の中からしか生まれないん ですよ。それを不要だと捨ててしまうのは、自分で自分の可能性を捨てている のと同じです」

 「はじめての懐石 8月朝茶の献立」(8月1日付朝日新聞朝刊・長沢美津子 記者) 「京都・瓢亭15代目高橋義弘さんは、海外で日本料理を説明する時、 「鱧松の椀(はもまつのわん)」を例にする。/夏の主役ハモが終わる頃、マツ タケが出始める。重なる短い時をとらえる料理だ。脂は落ち、真夏ほどおいし いハモではないが、マツタケの香りを邪魔せず調和する。「無理な演出には違和 感が残る。自然に感じてもらうことを大事にしたいのです」」